町乗り号復活への道
4VPコンロッド+3NW(RS90)シリンダー編

ロングは大変・・・


山間部を走っている時に悪夢は突然訪れました・・・
エンジン始動どころかキックさえ下りない・・・>_<
帰宅して恐る恐る開けると・・・

ジュラコン脱落によるエンジン破損・・・

SSで、3.683秒を記録したシリンダーとクランク死亡です。。。
クランク室から、ピストン、シリンダースカート、ジュラコンの残骸・・・

4VPクランクを組み数年、ピストン破損とジュラコン脱落によるエンジン破壊を4度ほど味わい、再び悲惨な状況を回避する為に思い当たる原因を挙げてみます。
・ 短い3R1コンロッド仕様(ロッド比の低下)、一次圧低下とマフラーフランジの不具合を避け、長い4VPのコンロッドを使わずにいた。
・ ピストンブタ鼻 (位置不良、2度目の破損で逆さU型切り込みに変更)
・ ジュラコン木ネジ留め
・ ノーマルより回るエンジン
・バランスが崩れ、振動が出るエンジン

思い当たるこれらを解消すべく作業に取り掛かります!^^;;


○コンロッド
一次圧低下を恐れ、3R1コンロッド使用してましたが、シリンダースカート破損の原因と考えられるロッド比の低下を補う為に元の4VPを使用します。それでも80クランクのロッド比には及びません。
長いモノを使えばロッド比も理想に近づき良いと思われますが、金欠ゆえにマフラーフランジ位置修正する資金も無く見送ります。

コンロッドの長さ(センター間)
80・90系 84mm
100系 90mm

※3R1のコンロッドセンター間は85mmだと巷では言われてますが、84mmです。
↓簡単な測定方法
(B+C)÷2=A
小学生レベルの計算^^

○ロッド比
下記の図参照
短いコンロッドを使うとピストンがシリンダー内に進入際、角度がキツクなります。鈍角
角度から見れば僅かですが、高回転になるほど上下運動の抵抗も増えます。それに短いコンロッドだとピストンスカートがクランクウェーブに干渉するのでカットしなければ使えない上、カットしたことによりピストンが振れる(暴れる・側圧が上がる)可能性があります。
4VPコンロッドだとスカートカット加工を施す必要が無くなります。
破損したクランクでは、シリンダースカートが末広がりに広がる症状確認済。


黒線:3R1
赤線:3R1+4VPクランク
青線:4VP+4VPクランク

黒丸:2GM(42mm)
青丸:4XP(47.6mm)

ロッド比
クランク コンロッド ロッド比 コンロッドMAX傾斜角
80ノーマル(42mm) 3R1(84mm) 2.0 14.5°
4VPノーマル(47.6mm) 3R1(84mm) 1.76 16.5°
4VPノーマル(47.6mm) 4VP(90mm) 1.89 15.3°
4VPノーマル(47.6mm) 96mm 2.01
50mm 4VP(90mm) 1.8 16.1°
53mm 4VP(90mm) 1.698
53mm 100mm 1.888
54mm 110mm 2.03
※コンロッドMAX傾斜角 2020.8.13追記

コンロッドを伸ばすとエンジンの吹け上がりがスムーズになった!パワーが出る!とか言われますが、ただ単に抵抗が軽減している考えられます。
ロッドを更に伸ばせば抵抗が減り良さそうですが、2サイクルゆえに一次圧縮低下やその他の問題も多々と考えてます。

○ピストン
ピン径Φ14の4VPコンロッドを使用する事により、今まで使っていたピン径Φ12のV100ピストンが使えなくなります。
SS号に使っているボア径Φ54・ピン径Φ14のピストンは、他の流用品に比べ軽量ですが、半分ほどの価格で、排気ポートの幅も気にせずに使えるアドレス110用を今回は使用します。 純正で0.5・1.0mmオーバーピストンあり! ただ、重たいのが・・・
流用ピストンで気になる一つにピストンピンハイトです。高過ぎるとその分、ベースガスケットを噛ませて高さ調整する事になり、一次圧縮低下やマフラーフランジ位置合わせ、スタッドボルトの変更などしないと使えません。ノーマル車体の場合、ヘッド面が高くなり多少なりとも整備性の悪化もあります。

ピストン ピン径 ハイト
2XX・2GM Φ12 29.5mm
ターゲット90(社外品) Φ12 33mm
アドレスV100 Φ12 27mm
アドレス110 Φ14 28mm
注意:独自の基準での計測だけに誤差があるかと思います。


今回からアドレス110用を使用するので、V100に比べ単純に1mmシリンダーを持ち上げないと同じタイミングになりません。
ピストンのブタ鼻加工は、過去に破損した経験があるので今回は行いませんが、メーカーさんが意味があって空けている穴だけに今後の課題とします。
逆さU型切込み加工は行います。機会があれば1穴加工もやってみたいですね。
U型や穴あけ加工は、仮組みした状態で切り込みの深さや穴の位置を決定します。

○シリンダー加工
町乗り号は独自の水冷シリンダー仕様、独自の冷却システムをフライス加工したシリンダーに差し込んでます。
破損したシリンダーは精密加工屋さんにフライス盤を借りて切削を行いましたが、トラブルの度にフライス盤を借りるには気が引けます。どうにかして自宅にある道具で対処出来ないものかと思案した結果、ある程度ファジーに仕上げ、隙間は液体ガスケットで埋める。^^;; と言っても0.5mm以内に仕上げたいと思います。大きな隙間には金属用パテを盛り埋めます。
タガネとハンマーでフィン折り
グラインダーとサンダーで仕上げます。
アラ釣り用の竿受けの端材で作った板バネタガネが活躍♪

○ポート・ケース加工
今回は、掃気通路が太く、シリンダー全長のある3NWシリンダー使用します。
そのままでも装着は出来ますが、掃気通路の大きさが違うので注意が必要です。※ケース切削加工
シリンダー自体の長さ(高さ)も違うので各部を計測します。重要!

・シリンダーの厚み
2XX・2GM 73.5mm
3NW 77.1mm
※個体差あり

排気口の位置(上面より)
2XX・2GM 23.5mm
3NW 26.5mm
※個体差あり
※2XX・2GMは異型なので一番高い所で計測
実際にはクランクシャフトに分度器をセットして角度を計測

3NWの純正ガスケットと比較すると
これだけ大きさが違います!
このままだとどれだけロスするか想像できますね。

最低でもこの部分を加工しないと性能を発揮できません。
排気タイミングは、今回はRSマフラーを使った町乗り仕様だけにあまり早めておりません。

○クランク
ビス留めジュラコンが吹っ飛ぶので、ある物を貼り付けました。
最初依頼した時は、旋盤屋さんも心配し、クランク芯だしを依頼した業者も心配してTELありましたが、短時間ながらプラス3,000rpm程回るSS号では、トラブル無しなので採用しました。
何を貼り付けたのかどうかは、私が編み出した案では無いので公表出来ません。あしからず・・・

使用するクランクは、金欠ゆえに以前と同じ4VP(47.6mm)です。^^;;
ケース加工をすれば外周切削加工もせずに済みますが、大型のボール盤も持ておらず、フライを借りれる状況では無かったので、前回同様にウェーブを切削加工しました。ただ外周は、従来の76→76.5mmと0.5mm大きくしました。
ケース拡大加工を施すと破損時、ケースが薄いので穴が空く可能性があります。

○ベースガスケット
ロングクランクゆえにシリンダーの高さ調整が必要です。
ストローク、ピストンハイト、コンロッド、シリンダー等の数値から割り出します。今までの経験からして、排気タイミングに合わせるのが良いようです。角度で決める


2008.10.11無事復活しました!
4VPコンロッドとWPC&MOS2のおかげなのか、
以前より
低いアイドリングでも異音軽減し
アクセルを開ければ軽く吹けるようになりました。^^
ただ、
ピストンが重たいのが原因なのか
振動が増えたような気がします・・・


金欠の私に
レアなシリンダーを提供下さった
ヘタクソさんありがとう御座いました。m(_ _)m
新たに甦って走っております。^^





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