てんかん                     戻る

てんかんは、脳の細胞が異常興奮しておこる病気です。脳の病気が原因で起こる場合、発達の段階で異常があるもの(先天性)と、後になってできる脳の病気が原因でおこる(後天性)ものとがあります。後天性の場合、脳腫瘍、外傷、感染症や脳梗塞など脳にできた傷によっておこる症候性てんかんがほとんどです。

てんかんの診断は、反復する発作と脳波検査でてんかん波を証明し確定する。
 脳のCTやMRIにより、診断および必要であれば薬物による治療計画を立てる必要があります。

てんかんとは
1. 強直(きょうちょく)間代(かんたい)発作
2. 欠神(けっしん)発作
3. ミオクローヌス発作
4. 部分てんかん
5. 特殊なてんかん
てんかん重積(じゅうせき)状態
てんかん型と脳波
治療

てんかんとは
 てんかんは脳内の神経細胞の異常な電気的興奮に伴って痙攣や意識障害などが発作的に起こる慢性的な脳の病気です。この病気は紀元前から知られており、神聖病とも呼ばれていました。神がかり的な病気とも信じられ、そのため最近まで多くの誤解や偏見があったことも事実です。異常な電気現象を起こす原因はまだ良く解っていませんが、現在世界中で熱心に研究されており、その原因が解明されることも近い将来と思います。病的な電気的興奮が脳の種々な場所に起こるため症状も種々なものがみられます。またこれらの興奮現象は異常脳波として現れるため、脳波の検査は診断には必ず必要です。脳炎や脳腫瘍などでも痙攣は起こりますが、この場合は病名としてはてんかんとは呼ばず、基礎にある病気の名前で呼ぶのが一般的です。てんかんの患者さんの数は人口10万あたりほぼ200〜300人といわれており、比較的多い病気です。
 てんかんは歴史的に古い病気であるため、その分類は時代により多くの変遷を重ねごく最近もてんかんの新しい国際分類が提唱されました。大変複雑になり専門的過ぎるので述べませんが、以前より大発作とか小発作あるいは全般てんかんとか部分てんかんなどの名前で総称されています。大表的なてんかん病型を少し説明いたします。
1.強直(きょうちょく)間代(かんたい)発作
 全身の痙攣、あるいは脱力などが突然起こることが特徴です。そのうち強直発作はいきなり四肢、頚部、体幹などの筋のつっぱりあるいはこわばりが起こり、このため身体がねじれると同時に意識消失がみられます。間代発作と呼ばれるものも手足が突然に屈曲伸展してガタガタとふるわせる痙攣発作です。これら2種の発作は伴うことが多く強直・間代発作と呼ばれており、多くの場合意識消失とともに全身性強直痙攣が起こり、次いで間代性の痙攣発作へと移行します。発作は数分で治まり、しばらく意識不鮮明やもうろう状態あるいは睡眠に移行したあと正常に返るのが一般的な経過です。

2.欠神(けっしん)発作
 子供に多い型で、5〜15秒の短い意識消失発作が起こり、そのあいだ患者さんは今までしていた動作を一時的に止めてじっとしており、再びもとの動作にもどります。あまり短いと周囲の人も気づかないことがあり、また学校での授業中ボーとしていると指摘され、不真面目な児童と誤解されることもありますので注意が必要です。複雑欠神発作は意識のない間、意味のない自動運動や軽い筋肉のピクつき、脱力、突っ張りなどを伴う発作です。

3.ミオクローヌス発作
 顔面、四肢、体幹などの筋肉に短時間のピクッとした痙攣が起こる型です。脱力発作は頭部、体幹、四肢などの姿勢を保つのに必要な筋肉の脱力が短時間発作的に起こり、そのため患者さんは尻もちをついたり、ガクッと頭を前にたれたりし、同時に瞬間的な意識消失を伴うものです。

4.部分てんかん
 意識障害の伴う型と伴わない型があります。痙攣などの運動が身体の一部にみられ、しばしばそれが他の部位に連続的に広がっていく運動性の発作は、口周などに痙攣が始まることが多く、手足→口周→同じがわの身半分→全身などにひろがり、全身に痙攣が及んだところで意識を失うのが一般的です。また身体の一部に起こった異常感覚がほかにひろがる感覚性の発作もあり、腹痛、下痢などの自律神経症状が発作的にみられるようなものもあります。

5.特殊なてんかん
 乳児や小児の患者さんにみられることが多く、点頭(てんとう)てんかんと呼ばれるものは、急に頭を前に倒し、下肢を伸ばし、上肢を上方にあげ、胴体を曲げる、いわゆる礼拝に似た動作がみられる発作を起こします。精神的および運動の発達障害がみられることが多く、また原因として全身の病気が関与し、特殊な治療が必要なこともありますので、専門医への受診が早急に必要です。レノックス症候群と呼ばれるものは、2〜4歳の幼児に多く小発作としての脱力発作やミオクローヌスを伴った欠神発作が頻発するもので、精神や運動の発達障害があり広範な脳障害によって起こるとされています。脳波が特徴的な異常を示すため診断は比較的容易です。反射性てんかんは、光音、音楽、触覚などさまざまな感覚刺激、あるいは自分の運動、条件反射などにより誘発されるてんかんです。数年前にテレビ番組のポケモンを見て、多くの子供さんに痙攣が起こり話題になりましたが、このてんかんと考えられています。
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てんかん重積(じゅうせき)状態
 大発作てんかんや小発作てんかんなどが連続してみられるもので、身の一部に痙攣が数時間あるいは数日間連続してみられるものや、長期にさくらん状態が続くようなものもあります。特に大発作てんかんが連続してみられる場合には、生命の危険もあるので救急処置が必要であり極めて重要です。


てんかん型と脳波
 てんかんにはその種類によってそれぞれ特徴的な脳波がみられます。発作中はタイミングよく脳波を取ることができないことが多いのですが、発作のない時にも異常は認められ、また発作型と脳波所見の対応関係もあるので、脳波検査は診断のため必須です。診断困難な場合、ビデオ撮影と脳波が連続検査できる特種な専門病棟もあり、患者さんを観察しながら検査することもあります。
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治療
 一般に薬物療法が中心でそれぞれの発作型について第一選択薬、第二選択薬があります。薬の血液の中の濃度が有効な濃度に達しているか否かをみながら薬の量を決めるべきです。また多くの薬を併用しないように、少ない種類の薬で治療することが、副作用防止にもなりますが、一方では薬の量が少ないと発作を起こすことにもなりますので注意が必要です。治療コントロールの難しい場合は数種類の薬を併用することもやむを得ないこともあり、また外科的治療が考えられる場合もありますので、主治医とよく相談して下さい。治療上最も基本的なことは、規則的な日常生活を送ることです。薬の飲み忘れや睡眠不足は発作の誘引となり、またかぜなど熱がでた時も発作が起こりやすくなります。この病気は長期に治療が必要ですので、患者さんの体の状態をよく分かっている主治医とよく連携を取り、また副作用が出ないように注意深く治療することが重要です。くれぐれも、自己判断しないようにしてください。