震えが特徴の病気『本態性振戦』の治療や薬、原因、ストレスとの関係性

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手が震えて食事を食べたり字を書いたりするのに苦労する病気、それが本態性振戦(読み方:ほんたいせいしんせん)です。

生活の質が落ちてしまうことやストレスとの関係性が強いことなどから、今回本態性振戦について簡単に説明することにしました。

本態性振戦の治療薬や治療法、手術についてみていきましょう。



本態性振戦ってどんな病気?


本態性振戦は上述したように震えが症状の病気なのですが、特徴としては震え以外の症状がないことが挙げられます。

発病率はが1-2%から10%程度まで幅広い調査結果が出ていますが、いずれにしてもそれほど珍しい病気ではないと言われています。

『本態性』という名前がついているのは『原因不明』という意味なので、本態性振戦の原因は不明です。

ただし遺伝的要因が強いことがわかっているので、家族に本態性振戦の方がいる場合は将来的にあなた自身が本態性振戦にかかる可能性が高くなります。

 

発病の平均年齢は40歳程度で、特に多いのは60歳以上の患者さんです。

また、本態性振戦はストレスによって症状の度合いが変わってくる病気でもあります。

ストレスがかかりつづけるとどんどん症状がひどくなり、人前で食事や筆記をすることを恥ずかしく思い、社交不安症状が出てきます。

症状は下半身よりも上半身に多く見られ、特に手に震えが出る患者さんが多いです。

 

本態性振戦とパーキンソン病の違い

本態性振戦では脳の神経の一部に異常が見られますが、同じように高齢の方が発症しやすい神経の異常にパーキンソン病があります。

パーキンソン病の場合は震えの他に症状が出る部位が固くこわばってしまったり、上手に動かせないといった症状があるのが大きな違いです。

また、全体的に本態性振戦の震えの方が細かく早いのが特徴で、パーキンソン病はゆっくりと震えます。

 

本態性振戦の治療法は?


本態性振戦の治療法の選択肢は3つで、薬物療法、ボツリヌス療法、手術療法と分かれています。

薬物療法は名前の通り薬物を摂取して震えを抑える方法、ボツリヌス療法は緊張している筋肉に注射をして震えを抑える方法です。

最後の手術療法は震えと関係している脳の一部を破壊したり、脳に電極を当てて電気刺激で神経の興奮を鎮めたりといった方法があります。

最近では超音波を利用した手術が注目されていて、治験が進んでいます。

本態性振戦の手術費用は高額医療費制度の対象となるものもあり、数万円程度に抑えることも可能です。

何科に行けばいいのか、と悩むこともあるかもしれませんが治療は神経内科・脳神経内科で行われます。

 

本態性振戦の漢方薬治療

本態性振戦の治療は西洋医学だけではなく東洋医学でも可能で、漢方を飲むことで本態性振戦が改善する方も一定数います。

半夏厚朴湯、抑肝散、釣藤散、当帰芍薬散などの漢方が治療に用いられますが、症状や体質によって必要な漢方は異なるので、漢方薬局での相談がベストです。

また、手術や西洋医学での治療に比べると治療効果が出るまでの期間が長くなりがちな点も留意しておきましょう。

 

本態性振戦の治療薬


西洋医学の治療薬で本態性振戦の治療に使われている薬は2種類で、抗不安薬とβブロッカーです。

体が震えるときというのは自律神経のうち交感神経が働いている状態で、アドレナリン(神経伝達物質)が受け皿である『β受容体』を刺激しています。

βブロッカーはこのβ受容体にアドレナリンを届けないようにするための薬です。

保険適用のβブロッカーは日本ではアロチノール(アルマール)のみで、保険適応外ならプリミドンやテノーミンがあります。

 

市販薬のβブロッカーには『インデラル』という薬があります。

日本では市販薬として販売されていないので、どうしても手に入れたいのであれば個人輸入で買うのが一般的です。

ただ、インデラルには息苦しさやだるさなどの副作用がありますので、異常を感じたら中止して、なかなか良くならない場合はすぐに病院へ。

個人的には最初から日本の病院を受診してお医者さんに薬を処方してもらうのをおすすめします。

抗不安薬は下記の記事でまとめていますので参考にしてみてください。

 

 

振るえ       

振戦の種類

本態性振戦(緊張したりすると悪くなることがあります)

安静時振戦(パーキンソン病などでみられます)

企図振戦(小脳という脳の障害でおきる振戦です)

羽ばたき振戦(肝炎など肝機能障害のときにみられます)