牛乳と花嫁



私は牛乳を飲む
最期に残るのが
骨だと知っているから

両端の扉から
ツンとした花嫁が
颯爽とつま先を見せる

もよおした時
彼女たちはどうするのか
その動向を
さりげなく伺いながら

気がつけば
髪が伸びて
あなたに一生
巻き付いてしまいそうだ

潜水すれば二人
浮上すれば億万人

ならば私は息を止めるか
慣れない深呼吸で生き残るか

あなたが傍らで
人工呼吸を施す

その唇に噛み付いて
言葉をそのまま
口移しで飲み込みたい

在処はひとつ

命以外に
引き裂かれる理由がない

故に私は
牛乳を飲む




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