春の椅子



北の椅子に蛙が一匹
目を開けたまま春を待つ

幹の根元を敷き詰める
石達にも温度が宿り

もうじき
わたしとあなたの椅子も
用意されるだろう

春のさなかに


ほのかに浮かび上がる
豊かな食卓

落ち着きなく逸る胸
迎えに駆け出すその前に
もう少し前髪を伸ばしたかった




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