ひとつの星
登り詰めたら
苺が置いてあった
アダムとイブの悪戯か
はたまたニュートンの勘違いか
それでも恋や引力を語るなら
林檎より苺の方が近いのかも知れない
魅惑を課せられた
デリケートな表面に
触れた瞬間
時計が狂い始め
さて永遠とは
さて刹那とは
が 分からなくなる
しっぽが生えそうな朝があったり
鈴の音が鳴る夜があったり
こころはすべてに成り代わり
有意義な遊戯は続いていく
その瞳はこころだ
その手のひらはこころだ
その口元もこころだ
そしてその言葉と
ぬくもりがこころだ
すべてがこころで成り立つから
触れれば激しい
赤い苺の果肉が滴る辺りに
あなたが横たわり
わたしが横たわり
ひとつの星を見ている
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