温度差



あなたより
0.5度 冷たい私の手
この温度差を利用して
わたしはあなたから
温もりをねだる

繋ぐべきものが
こんなに多く発生する街

繋ぐのに必要な
あと少しの優しさが足りず
街は冷えきったままだ

カツカツと
単調な靴音しか響かないから
わたしはあなたの袖を引っぱり
奇妙なステップをこしらえる

今年の冬は
煙草の香りが染み付いた
温かいマフラーが必須だった

キッチンから立ち上る湯気は
勢い良く天井へと向かい
部屋の温度を0.5度 温める

私達は笑って
濃いコーヒーを
恋のさなかで




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