私は詩を書こうとしたんだ



私は詩を書こうとしたんだ

あの空気と この世界と
あの光と この液体と

うまい具合に手繰り寄せ

私は詩を書こうとしたんだ

上手に書けたら
ご褒美の影が眠りを呼ぶから

だから私は
詩を書こうとしたんだ

短い人生の流れの中に
小さな不安を感じながら
それでも永遠はあると
信じてみたくなったから


私は詩を書こうとして
あなたから借りた詩集を開いたのに
途端に漂った煙草の香りで
見る間に現実に呼び戻され

とにかくがむしゃらに逢いたくなった


情で悪いか
あなたが好きだ




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