優しい卵



朝 目覚めると
優しい卵が「街を見たい」と呟いた

朝食をとることも忘れ
スニーカーの在処を思い
瞼が日焼けしそうな
太陽を見上げる

真っ白な扉を開け
自転車に卵を載せ
新しい旅が始まった

優しい卵に寄り添うこと
優しい卵を見つめること
優しい卵と語ること

心の中に
色とりどりのアスファルトが見え始め

自転車から
幾つものフラッグが生まれる

この旗は「こんにちは」
この旗は「ありがとう」

「大好きだよ」のフラッグを
あなただけに見せるために
ペダルを勢い良く踏み込んだ


優しい卵が笑っている

あなたまで
もうすぐだ




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