民法T


第一部 序説

序章 民法への道案内

一 民法の学び方

二 民法の解釈について

第一章 民法総論

一 「民法」とは何か

二 民法の構造と民法典の構成

1 民法の想定する法律関係

2 民法の構造

(1)債権と物権
(2)債権編の内容
(3)物権編の内容
(4)まとめ

3 日本民法典の構成−パンデクテン方式

三 日本民法典の沿革−明治維新と民法典の編纂

四 本書の構成


第二部 総則

第二章 契約の成立

一 契約の成立

1 契約とは何か

2 申込と承諾による契約の成立

(1)申込
(2)承諾

3 隔地者間の契約の成立

(1)申込は撤回できるか
(2)承諾によって契約が成立するのはいつか
(3)申込・承諾後の死亡・行為能力喪失

4 対話者間の契約の成立

二 意思表示

1 意思表示とは何か

2 心裡留保(93条)

(1)心裡留保とは何か
(2)心裡留保と契約の拘束力

3 虚偽表示(94条)

(1)虚偽表示とは何か
(2)94条2項序説
(3)94条2項の制度趣旨
(4)「善意」
(5)第三者の範囲について
(6)第三者と対抗要件
(7)虚偽表示の撤回

4 94条2項の類推適用

(1)94条2項と権利概観法理
(2)94条2項の機能
(3)心裡留保と虚偽表示の区別

5 錯誤(95条)

(1)要件@−法律行為の要素の錯誤(95条本文)
(2)要件A−表意者に重過失の存しないこと(95条但書)
(3)判例理論への批判
(4)効果
(5)共通錯誤

6 詐欺(96条)

(1)詐欺とは何か
(2)なぜ効果は取消なのか
(3)詐欺と錯誤はどう違うのか
(4)第三者の詐欺(96条2項)
(5)第三者との関係

7 強迫(96条)

(1)要件
(2)効果

第三章 契約の主体

一 人・権利能力

1 権利能力とは何か

2 権利能力の始期

3 権利能力の終期

(1)死亡
(2)認定死亡(戸籍法89条)
(3)失踪宣告(30〜32条)
(4)同時死亡の推定/h5>

二 意思能力・行為能力

1 序−権利能力・意思能力・行為能力の関係

(1)ゲームの比喩
(2)意思能力
(3)行為能力

2 行為能力

(1)行為能力を制限される者の範囲
(2)制限能力者の相手方の保護
(3)制限能力者の意思表示の効果
(4)行為能力制度の問題点

三 「人」総括

四 住所・不在者

第四章 代理

一 代理とは何か

二 代理の法律関係(代理の観念)

三 代理権−本人と代理人との関係

1 代理権の発生原因

(1)法定代理
(2)任意代理

2 代理権の範囲

(1)代理権の範囲の確定
(2)代理権の範囲が明らかでない場合(103条)
(3)自己契約・双方代理
(4)代理権の濫用

3 復代理人

(1)復代理人とは何か
(2)復代理の関係

4 代理権の消滅

5 任意後見契約制度

(1)序
(2)任意後見契約の成立
(3)任意後見契約の効力
(4)任意後見契約の終了

四 代理行為−代理人と相手方との関係

1 顕名

2 代理行為の瑕疵

3 代理人の能力

(1)行為能力は必要か
(2)代理人が制限能力者の場合

五 代理の効果−相手方と本人との関係

六 無権代理

1 無権代理に関する民法のルール

2 本人がとりうる手段−追認・追認拒絶

3 相手方がとりうる手段

(1)催告権(114条)
(2)取消権(115条)
(3)本人が無権代理人を相続した場合

七 表見代理

1 代理権授与の表示による表見代理(109条)

(1)「他人に代理権を与えたる旨を表示」
(2)代理権の範囲・代理行為者・相手方
(3)相手方の善意・無過失

2 代理権踰越による表見代理(110条)

(1)110条の趣旨
(2)代理人の権限踰越行為
(3)基本代理権の存在
(4)正当理由
(5)110条に関するその他の問題

3 代理権消滅後の表見代理(112条)

4 表見代理の効果

八 代理と類似の観念について

第五章 法人

一 法人とは何か

二 「法人」総論−法人制度の基本枠組

1 「法人」を認める際に必要な要件

2 法人の種類

3 民法の定める法人の設立要件

三 社団と組合

1 社団と組合の峻別論

2 批判

四 権利能力なき社団

1 権利能力なき社団とは何か

2 権利義務の帰属

3 登記名義

4 団体の債務と構成員の責任

(1)有限責任か無限責任か
(2)代表者の責任

5 構成員の債務と団体財産

(1)持分の差押え
(2)登記名義人に対する差押え

五 法人の組織

六 「法人の能力」と「目的の範囲」

1 法人の権利能力

2 沿革

3 営利法人に関する判例

4 非営利法人に関する判例

5 考え方

七 定款等による理事の代理権の制限

1 54条と「代理権の制限」

2 「目的の範囲」による制限と54条

3 54条の事例

八 理事の代理権に対するその他の制限

九 法人の不法行為

1 44条の趣旨

2 法人の不法行為責任

3 「職務を行ふに付き」

4 44条1項と110条

(1)なぜ110条が問題となるのか
(2)44条と110条の適用順序
(3)44条1項と相手方の善意・無過失

5 機関個人の責任

十 法人の解散

契約の有効性

一 序

(1)契約の効力と有効性
(2)契約の有効性をめぐる2つの視点

二 当事者にかかわる一般的有効要件

三 契約内容についての一般的有効要件

1 確定性

(1)給付内容が確定できない契約
(2)解釈による契約内容の確定

2 実現可能性

3 適法性

(1)強行規定と任意規定
(2)行政的取締規定と強行規定
(3)脱法行為

4 社会的妥当性

(1)犯罪にかかわる行為
(2)取締規定に反する行為
(3)人倫に反する行為
(4)射倖行為
(5)自由を極度に制限する行為
(6)暴利行為または不公正な取引行為
(7)個人の尊厳・男女平等などの基本権に反するもの
(8)その他の問題

四 有効要件を欠く場合の効果

五 無効

1 基本的効果

2 一部無効

3 無効行為の転換

4 無効行為の追認

六 取消

1 取消権者

2 取消の方法

3 取消の効果

4 取消し得べき行為を有効な行為として確定する事由

(1)追認
(2)法定追認
(3)取消権の消滅
(4)相手方の催告権

第七章 契約の効力発生時期−条件・期限・期間

一 条件・期限

1 条件・期限の種類と区別

2 出世払い債務

3 条件

(1)条件に関する制約
(2)条件成就の擬制
(3)条件の成否未定の間の期待権

4 期限

二 期間

第八章 時効−消滅時効

一 時効とは何か

二 存在理由をめぐる問題

三 消滅時効−要件

1 消滅時効にかかる権利

2 時効期間の長さ

3 時効期間の起算点

4 形成権の特殊性

四 中断・停止

1 中断とは何か

2 「請求」

(1)「請求」の意味
(2)「裁判上の請求」

3 「差押、仮差押又は仮処分」「承認」

4 中断の効果

(1)中断後の時効
(2)中断の効果の人的範囲

5 停止

五 時効の効果−援用・放棄

1 時効の効果

2 時効の援用

(1)学説
(2)判例

3 援用権者

4 援用の場所

5 援用の効果の及ぶ範囲

6 時効利益の放棄

(1)時効利益の放棄とは
(2)時効完成後の自認行為
(3)時効利益の放棄の効果

六 除斥期間

七 形成権の期間制限の法的性質

八 抗弁権の永久性

第九章 法律行為

一 「法律要件」としての契約

二 法律行為概念の成立

三 法律行為の解釈


第三部 物権

第十章 物権法序説

一 物権法の内容と本書の構成

二 物権法定主義

第十一章 物

一 「物」とは何か

二 不動産・動産

1 不動産

2 動産

3 無記名債権

三 主物と従物

四 果実

五 所有権の客体となるためのその他の要素

1 支配可能性

2 特定性・単一性

3 独立性

六 物の単位

(1)土地
(2)建物
(3)立木

第十二章 所有権の内容

一 全面的支配権

二 所有権の内容に関する民法の規定

第十三章 所有権の効力−物権的請求権

一 要件

二 請求権の内容−費用の問題

1 行為請求権か認容請求権か

2 妨害予防請求権の場合

三 権利行使期間

四 請求権競合

五 返還請求権における利害調整

1 果実の扱い

2 費用の扱い

3 滅失・毀損の扱い

第十四章 所有権の取得

一 所有権の取得原因−概観

二 取得時効

1 取得時効の要件をめぐる問題

(1)要件
(2)立証の緩和

2 取得時効の存在理由

3 「自己の物」の取得時効

4 中断・停止/援用/時効利益の放棄

三 その他の原始取得

1 先占・拾得・発見

(1)無主物先占
(2)遺失物拾得
(3)埋蔵物発見

2 添付

3 不動産の附合

(1)不動産の附合とは何か
(2)「従としてこれに附合したる」
(3)権限による付属

4 加工と附合

第十五章 共同所有関係

一 共有

1 内部関係

(1)共有持分
(2)目的物の利用

2 対外関係

3 共有物の分割

二 建物の区分所有

第十六章 占有権

一 序

二 「占有権の効力」

(1)本件の推定(188条)
(2)物権的請求権の被告となったときの調整規定(189〜191条、196条)
(3)即時取得等(192〜195条)
(4)占有訴権(197〜202条)
(5)主として取得時効に関して意味のある規定(185〜187、203条)

三 占有(権)とは何か

1 要件

(1)代理占有(間接占有)とは何か
(2)「間接占有」(代理占有)の要件
(3)占有補助者

四 取得時効にかかわる規定

1 自主占有・他主占有

2 占有の承継

3 瑕疵ある占有の承継

4 相続による占有承継

五 占有訴権

1 占有訴権とは何か

2 種類

3 性質

4 物権的請求権との関係

5 占有の交互侵奪

6 占有訴権の存在理由

六 占有のその他の効果

七 準占有

第十七条 物権変動

一 物権変動とは何か

1 物権の発生・変更

2 消滅

(1)目的物の滅失・放棄・消滅時効等
(2)混同

3 物権変動のポイント

二 契約による不動産の物件変動

1 物権変動に必要な行為は何か

2 物権はいつ変動するか

3 物権変動を第三者に対抗するための要件は何か

4 公示と公信

三 不動産登記制度

1 登記と登記簿

2 手続

3 有効要件

4 登記請求権

5 仮登記・予告登記

(1)仮登記の効力
(2)仮登記の手続
(3)予告登記

四 不動産物件変動における対抗要件主義−その拡張と限界

1 登記を対抗要件とする物権

2 登記を対抗要件とする物権変動

(1)取消・解除
(2)相続
(3)取得時効

3 登記をしなければ対抗できない「第三者」

五 契約による動産物権変動の対抗要件

1 公示と対抗要件

(1)引渡し
(2)登記・登録
(3)明認方法

2 動産物権変動における対抗問題の特色

六 公信の原則−動産物権変動における取引安全保護

1 即時取得(善意取得)

(1)即時取得の効果
(2)要件

2 盗品・遺失物の例外

3 「公信の原則」と94条2項の類推適用


第四部 総括

第十八章 物権・債権・私権総括

一 物権と債権との区別

二 私権についての一般原理

1 私権

2 私権に関する民法の原則