捜査に対する被疑者側の防御活動
 

 弾劾的捜査観からは、捜査段階において被疑者にも公判への防御準備権を保障する必要がある。
 具体的には、
1)黙秘権、
2)弁護人の援助を受ける権利、特に国 選弁護人依頼権、接見交通権、
3)証拠の収集保全権・開示請求権、
4)立会権、保釈請求権、等の保障が重要である。
 



 刑訴法39条1項の趣旨

 刑訴法39条1項は、身柄を拘束された被疑者に弁護人との接見交通権を保障している。これは、1)被疑者に弁護人が防御の必要的知識を教示する必要性、2)接見による捜査の可視性を高める必要性、3)被疑者の公判への準備活動の必要性、4)弁護人依頼権(憲法34条)の実効化等の理由に基づく。
 他方で、刑訴法39条3項は、捜査機関は「捜査の必要性」があるときは接見の日時、場所、時間を指定できると規定している。刑訴法は、弁護と捜査が鋭く対立する場面において、一方で被疑者に接見交通権を認めると共に、他方で捜査機関側に指定権を与えて、両者の調整を図ったものである。



 接見制限の条件

 刑訴法39条3項の「捜査の必要性」については、それを罪証隠滅の防止・共犯者との通謀の防止等を含めた捜査全般の必要性とする説(非限定説)もある。
 しかし、この説は1)刑訴法39条1項が憲法34条を受けて自由な接見交通権を認めた趣旨を没却し、2)罪証隠滅の恐れ等では抽象的であり、その恣意的運用の恐れがあり、3)真実発見に偏し、適正手続(憲法31条)の見地より疑問があり、妥当でないと考える。
 前記刑訴法39条1項の接見交通権の趣旨、接見指定は被疑者が防御の準備をする権利を不当に制限するものであってはならないこと(刑訴法39条3項但書)から考えれば、接見交通権を制約する「捜査の必要性」はできる限り限定的に解釈すべきである(限定説)。



 接見制限の条件(その2)

 刑訴法39条1項の接見交通権の趣旨、接見指定は被疑者が防御の準備をする権利を不当に制限するものであってはならないこと(刑訴法39条3項但書)から考えれば、接見交通権を制約する「捜査の必要性」はできる限り限定的に解釈すべきである(限定説)。
 従って、捜査機関は、弁護人から接見の申出があったときは、原則として何時でも接見の機会を与えなければならないのであり、捜査の中断による支障が顕著な場合、すなわち、
1)現に被疑者を取調中であるとか、
2)実況見分・検証に立ち会わせる必要がある場合、
3)あるいは右取調べ等をする確実な予定があって、接見を認めたのでは、右取調べが予定通り開始できなくなる場合
 であっても、弁護人と協議してできる限り速やかな接見のための日時等を指定して、被疑者が防御のため弁護人と打ち合わせることのできるような措置をとるべきであると解する。



 違法捜査に対する救済

 刑事手続き内の救済としては、
1)勾留・押収・鑑定留置等の違法を争う「準抗告」( 429条以下)。
2)違法な捜査活動によって取得された証拠は、その使用を認めれば「汚れた手」による断罪を許すことになるので、適正手続きの要求に反し、公判手続きでその使用を認めないとする「違法収集証拠の排除」。
 自白について任意性が認められない場合の自白の排除法則(319条1項)。
3)捜査における違法が特に重大な場合、公訴の提起が許されず、仮に起訴されても裁判所が公訴を棄却する「訴追の禁圧」 といった方法が考えられる。但し、3)については判例は消極的である。
 また、刑事手続き外の救済としては、
1)懲戒処分
2)刑事罰
3)民事罰
4)人身保護手続き
 といった方法が考えられる。