職務質問は、挙動不審者・被害者・関係する第三者等に対する、警察官の停止・質問・同行を認める警察活動である(警職法2条)。
これは、過去の特定の被疑事実についての捜査ではなく、犯罪を予防し、捜査の端緒を得るための警察活動である点に特色がある。
しかし、警職法2条3項は、「強要されることはない」と規定し、同条が任意処分であるとしている。そこで、職務質問のための「停止」としてどの程度の実力行使が許されるかが問題となる。
この点、職務質問の任意処分性をあくまで強調し、警察官は停止を強制できないとする説もあるが、かような解釈は窮屈にすぎ、現実の要請に沿い切れないきらいがあり妥当でない。
判例は「必要性・相当性」という観念で説明するが、警職法2条1項が「停止させて」と規定する以上、強制捜査たる身柄の「拘束」に至らぬ程度の自由の制限を警察官に認めてかまわないと解する。