事件単位の原則

 事件単位の原則とは、逮捕・勾留の効果は、令状に記載されている犯罪事実にのみ及ぶとする原則をいう。
 これは、逮捕・勾留の効力を令状記載の犯罪事実に限定することによって、身柄拘束の原因を明確にし、被疑者の人権を保障する趣旨である。
 この原則から次のような帰結が生じる。 まず、逮捕・勾留の要件、勾留延長、勾留更新等の自由の存否についての判断は、逮捕事実又は勾留事実についてのみなすべきであることが帰結される。
 次に、逮捕状・勾留状に含まれていない犯罪事実については、逮捕・勾留の効力は及んでいないから、必要があれば、別個の逮捕・勾留関係が生じることになる。
 かような二重勾留については、当該被疑者を基準として考える人単位説においては否定されるが、勾留の効力は、勾留状記載の犯罪事実を単位に考えるべきとする事件単位説の立場からは肯定せざるを得ない。