報道機関の報道の自由は、表現の自由を規定した憲法21条の保障の下にあり、報道のための取材の自由も、憲法21条の趣旨に照らし十分尊重されるべきものである。
しかし、公正な刑事裁判を実現するために不可欠である適正迅速な捜査の実現という要請がある場合には、取材の自由もある程度の制約を受ける場合がある。 そして、この場合の報道機関の取材結果への差し押さえの可否については、適正迅速な捜査を遂げるための必要性と、当該差し押さえによって報道機関の報道の自由が妨げられる程度等諸般の事情を比較衡量して決すべきである(判例)。
憲法35条1項及びこれを受けた刑訴法 218条1項、 219条1項は、その趣旨からすると、令状に明示されていない物の差し押さえが禁止されるばかりでなく、捜査機関が専ら別罪の証拠に利用する目的で差押許可状に明示された物を差し押さえることも禁止されるものと言うべきである。
したがって、当該差し押さえが専ら別件の証拠を目的としたものであった場合には、差し押さえは許されないと解される。
しかし、当該差し押さえが、別件たる事件を目的とするものでなく、かつ、証拠物が、同時に令状請求した事件の証拠物となりえるものであり、令状に差押目的物として記載されていた場合には、右差押は有効であると解される。
刑訴法 111条は執行にあたっては、必要な処分を行うことができる旨を規定する。この必要な処分とはどういうことをさすのか、捜索・差押えは物に対する強制処分であるので問題となる。
これについては、一般に、差押えの目的を達するために合理的に必要な範囲の付随処分をさすと解される。
必ずしも、その態様のいかんを問わないので、判例によれば、差し押さえたフィルムの現像もその一例とされる。
また、強制採尿については、「医師をして医学的に相当と認められる方法による」という条件が不可欠とされるので、それが可能な物的設備を備えた場所へ被疑者を強制的に同行することは、反対説もあるが、判例は、採尿に必要な処分に含まれるとしている。