強制採尿の適法性の要件

 強制採尿は人格的法益の侵害を伴うものであるから、事件の重大性と嫌疑の存在、証拠の重要性と必要性、代替手段の不存在等からやむをえないと認められる場合で、最終的手段であることが必要である。
 そして、その手続きには、体内に存在する尿を犯罪の証拠物として強制的に採取する行為は捜索・差押の性質を有するものと見るべきであるから、捜査機関がこれを実施するには捜索差押令状を必要とすると解すべきである。
 ただし、右行為は人権の侵害にわたるおそれがある点では、一般の捜索・差押と異なり、検証の方法としての身体検査と共通の性質を有しているので、身体検査令状に関する刑訴法 218条5項が右捜索差押令状に準用されるべきであって、令状の記載要件として、強制採尿は医師をして医学的に相当と認められる方法により行わせなければならない旨の条件の記載が不可欠であると解さなければならない。