盗聴の適否

 盗聴とは、公開を望まない人の会話を密かに聴取または録音することをいう。いずれもプライバシーないし人格権の侵害となり許されないと考えられるので、捜査機関が行うなら、強制処分ということになる。
 盗聴を強制処分と解するとして、どのような規制にふくするかについては、憲法上の「押収」だが、既成の強制処分に入らないので、強制処分法定主義の要請上、現行法では許されないとする説と、検証として令状により許されるとする説がある。
 前説は、押収としてだけでなく強制処分としての検証ということも考えられるし、後説は、現行法における検証の枠におしこめてしまうのは、その対象のなかに正当に保護されるべき未確認の会話が混入せざるを得ないので、妥当でない。
 盗聴は、既成の強制処分に入らない新しいタイプのものとして、立法措置が必要であり、現時点では許されないと解すべきである。



 一方の当事者の同意があり、またはその依頼によって盗聴することは許されるか

 会話当事者一方の同意により行われる会話の聴取・録音を同意盗聴という。また、会話の一方が無断で録音することも秘密録音という。
 この点につき、(1)会話はまさに相手に意思を伝達する目的で行われる以上、その内容は相手の支配下に移るので、モラルの問題はあるものの違法でないとする説や、(2)会話の自由やプライバシーに対する期待権が侵害されるので違法とする説があるが、(3)具体的事情上、他にもれないことが合理的に期待されるべき会話かどうかにかかるとする折衷説が妥当と考える。