逮捕・勾留された被疑者の余罪の取調べはできるであろうか。取調にも逮捕・勾留の効力は令状記載の犯罪事実以外に及ばないとする「事件単位の原則」の適用があるかが問題となる。
この点、逮捕・勾留中の取調は強制処分であるから、事件単位の原則の適用があり、逮捕・勾留理由の事件に限定されるとする説もある。
確かに、身柄拘束下の取調は強制的要素を否定し得ず、強制処分と考えるべきであろう。
しかし、現行法は取調目的の逮捕・勾留は認めておらず、身柄拘束と取調とは分離して考えるべきであり、事件単位の原則と取調とを結び付けて考えるべきではない(非限定説)。
ただ、余罪の取調が具体的状況の下において令状主義を潜脱すると称し得るような段階に立ち至っているときは、すなわち違法な別件逮捕によって本件の取調をするような場合は、違法として禁止されると解すべきである(令状主義説)。