被告人に対する取調は許されるか。
判例は、身柄を拘束されている被告人の取調も任意処分であり、拘留中であっても、197条1項本文によって許されるとすると解している。
しかし、このように被告にを法廷外で弁護人の立ち会いなしに捜査官が密室で取り調べることは、公判中心主義、被告人の弁護人依頼権(憲37条3項)の見地から疑問である。
かような場合は、弁護人を排斥した密室での取調であること自体に強制処分性を認め、198条が「被疑者」としていることにより、被告人には許されないと解すべきである。
ただ、名実共に任意処分であれば実質上問題はないので、被告人自ら取調を求めたような場合は許されると考える。