【68】証明方式−厳格な証明・自由な証明

厳格な証明 証拠能力を有する証拠による適式な証拠調べ(304〜310条)を経た証明方式
自由な証明 厳格な証明でない自由化された証明方式

適正な証明 当事者の申立を条件として自由な証明から厳格な証明への可変的移行を認める証明方式(自由な証明の一種)
【論点】 厳格な証明を必要とする事実は何か。

「事実の認定は証拠による」(証拠裁判主義:317条)。
ここに「証拠」とは、適式な証拠調べを経た証拠能力を有する証拠の意味と解するのが通説である(厳格な証明)。

しかし、厳格な証明と自由な証明という機械的な区別には疑問がある。事実以外の証明については適式な証拠調べは一切不要とするならば、適正手続の保証を定めた憲法31条の趣旨に反するからである。

かといって、すべての事実の証明に適式な証拠調べを要求するならば、裁判所の負担が大きく、現実的でない。

そこで、自由な証明とされるもののなかに、当事者の申立を条件として自由な証明から厳格な証明への可変的移行を認めるもの(適正な証明)を認めて、柔軟な運用を期するべきである。