【75】立証趣旨

立証趣旨 証拠と証明すべき事実との関係(規189条1項)

    立証趣旨の拘束力
規則189条1項は、「証拠調べの請求は、証拠と証明すべき事実との関係を具体的に明示して、これをしなければならない。」と規定する。

これは、裁判所が証拠の採否を判断する参考とするためのものであるが、のみならず、当事者の攻撃防御の焦点を明らかにし当事者に立証上の便宜を与えるためのものである。

  とすれば、証拠調べをした証拠を、立証趣旨と異なる事実の立証に使用することは、当事者の防御権を侵害し許されないと言うことになるようにも思える(立証趣旨の拘束力)。

  しかし、自由心証主義の下では、裁判所は提出された証拠を提出当事者の利益にも不利益にも認定できるのだから(証拠共通の原則)、一度証拠調べがなされた証拠について、裁判所が立証趣旨と異なる認定をしたからといっても問題はないと解するべきである。

  もっとも、

(1)弾劾証拠を立証趣旨とする証拠を犯罪事実の認定に用いること

(2)立証趣旨を限定して同意された書証を他の事実の認定に用いること、

(3)共同被告人の一部のための証拠を他の被告人のために用いること、

などは、許されないと考えるべきである。

  その理由は、立証趣旨の拘束力を認めるためではなく、これらは、類型的に誤判を生じさせるおそれが強いところから証拠能力が否定されるためである。