自白とは、自己の犯罪事実の全部またはその主要部分を認める被告人の供述をいう。
犯罪事実のみならず間接事実をも含めて、およそ自己に不利益な事実を供述する場合を「不利益な事実の承認」と呼ぶが、その意味では自白もまた不利益な事実の承認の一種である。
自白には、証拠能力や補強法則の適用があるが、不利益事実の承認は証拠能力上は自白と同様に扱われるが(322条1項)、補強証拠の適用はないので、この点に両者の区別の実益がある。
【322条1項】被告人が作成した供述書又は被告人の供述を録取した書面で被告人の署名もしくは押印のあるものは、その供述が被告人に不利益な事実の承認を内容とするものであるとき、又は特に信用すべき状況の下にされたものであるときに限り、これを証拠とすることができる。
ただし、被告人に不利益な事実の承認を内容とする書面は、その承認が自白でない場合に置いても、319条の規定に準じ、任意になされた疑いがあると認めるときは、これを証拠とすることはできない。
有罪の自認とは、起訴された犯罪について有罪であることを自認することである(319条3項)。有罪の答弁ともいう。(例:「起訴事実に相違ありません」との冒頭陳述の際の供述)
自白と有罪の自認との関係であるが、例えば、被告人が構成要件該当事実を認めた上で違法阻却事由を主張する場合、被告人は有罪の自認をしているわけではないが、構成要件該当事実については自白が成立する。
有罪の自認も自白の一種として扱われる(319条3項:『前二項の自白には、起訴された犯罪について有罪であることを自認する場合も含む』)。もっとも、有罪の自認は、簡易公判手続きを開始しうる手続き上の効果を伴う(291条の2)。
(1)その供述が「自白」にあたるか
(2)自白に当たるとして証拠能力があるか(自白法則、排除法則の適用)
(3)その自白に補強証拠があるか(補強法則の適用)
の順で検討すること。