合格講座 その1

株式会社とは

会社とは社団である(52条)←構成員から独立した人格
営利団体である(52条2項)←多額の資金を結集し事業を行うに適する団体
株主は会社の共有持ち分を持つ者、すなわち会社の所有者である
その会社の所有者が集まって意思を決定するのだから、株主総会は株式会社の最高機関である
本来、株主総会は企業の所有者を構成員とするのだから、全事項につき決定権があるはず

しかし、実際には
(1)株主は経営に対して無関心
(2)関心があったとしても(株主は経営の専門家ではないので)困難である
・・・・これを「株主は会社経営の意思も能力もない」という言い方をする
よって、企業の合理的運営を確保する必要がある
・・・・迅速で的確な意思決定をなしうる仕組みが必要とされる
そこで、一定の権限を残して、会社の運営を第三者機関たる取締役会に委ねた(260条)
・・・・「取締役会は会社の業務を決し」とある
これが、いわゆる「所有と経営の分離」である(254条2項)
*ちなみに「一定の権限」とは
「総会の権限」(230条の10)←「本法または定款に定むる事項に限り」←法は総会の権限の拡大は望んでいない
例;取締役の選任(254条1項)、解任(257条)、計算書類(貸借対照表・損益計算書)の承認(283条)〜(業務の内容を報告・総会に承認を求める)
第三者機関たる取締役会は業務執行権を独占する←取締役会の権限の強大化

よって、適正に運営されないと(1)株主、(2)利害関係人に損害を与えることになる

そこで、適正ならしめるために
(1)業務執行権を取締役会という会議体に与えた
(2)代表取締役という実行機関を置いた
(3)監査役を置いた(274条)

株主総会

議決権の意義
企業の所有者である株主が株主総会に出席し、議決権を行使することによって所有者としての意思を会社経営に反映させることができる。
ゆえに、きわめて重要な意義をもっている。
○そこで議決権行使の機会をどうやって保障するか、という問題が出てくる
まず、招集手続
(1)通知(232条)→二週間前に通知(書面で)。議題を掲げなければならない
*緊急動議は許されるか・・・・なんて問題が考えられるね

(2)招集地(233条)→「本店の所在地または隣接する地」
*「隣接する地」といっても具体的にどの程度近ければいいか・・・・問題だね
最小独立行政区画くらいかな?株主の議決権行使の妨げにならない所に定めなければならない
こういう論証になる「一方で株主の出席の便宜を図り、議決権行使の機会の保障をする必要あり、他方で、多数の株主を収容できる場所の確保の要請もある。やはり「最小独立行政区画」で行わなければならないと解される・・・・」(これに反する招集地では招集手続に瑕疵がある)

(3)招集権者(231条)
招集権者をしっかり特定しておかないと、招集手続が混乱し議決権行使が妨げられる

問題
『株主総会の招集手続の瑕疵の態様について説明し、商法上問題となる点を論ぜよ』

○議決権の意義

→議決権の重要性を強調
○232条の通知義務
→趣旨・問題点→例;緊急動議
○233条の招集地
→趣旨→「隣接する地」の範囲は?
○そして取消の訴え(247条)


決議取消の訴え

「招集の手続または決議の方法が法令または定款に違反し・・・・」(247条1項1号)

○なぜ「訴え」なのか?

通常、取消は意思表示で足りる

しかし、会社は総会決議があると、その決議に基づいて運営されるため、多くの利害関係人が発生する

安易に取り消したら法律関係が複雑になってしまう

そこで、「画一的処理」の要請
・提訴期間限定・・・・決議の日から三ヶ月(248条)
←不安定な法律関係はそう長くは放置できない
・「訴」権者・・・・株主(247条)

○では、ある株主が他の株主の瑕疵を主張して「訴え」を提起できるか?

247条は株主の議決権行使の機会を保障する趣旨
したがって、この場合の「株主」とは実際に議決権を妨げられた株主をいう・・・・
(という思考法で問題にあたっていくべき)
ついでに「必要性」を書いておけば上出来
「法律関係の安定を図る必要性」←濫訴をおさえむやみに取消を認めるべきでないので、訴権者を限定してかんがえる


【追記】

であるが、株主は決議が適正になされるという利益を一般に有していると考えられる。
確かに法律関係を安定させるという要請もあるが、議決権は株主にとって重要な権利であり、これが適正に行使される利益は無視されるべきではない。
よって、他の株主に対する瑕疵であっても株主は訴えを提起できると解すべきである(肯定説)
○247条を考えるときは「特別利害関係人」が重要
その決議に対して株主が特別の利害関係を有していた場合
例「A会社がB会社に営業譲渡する場合、A会社の株主総会が必要(245条)である。では、B会社がA会社の株主であった場合はどうか?」
議決権の行使自体は可能である
しかし、「著しく不当なる決議がなされたとき」(247条1項3号)取消の訴えができる


次回予告
特別利害関係人の意味
株主の議決権の代理行使
総会あらし

乞うご期待