発起人が会社設立のため支出した費用
(例)作成した定款を公証人に認証してもらう費用など
*変態設立事項は定款に記載(168条)した上、検査役による検査を受ける(181条、173条)
金銭以外のもので出資すること
(例)不動産、特許権など
168条1項5号は、これを変態設立事項としている。
また、現物出資は発起人に限られる(168条2項)
*ちなみに、設立後は発起人に限られない(280条ノ2 1項3号、280条ノ8)
なぜ、このような制限があるのか
株式会社は物的会社ゆえに設立段階においては何より会社の財産的基礎を確保する必要があるからである。
*新株発行が資金調達に重点が置かれているのとは異なる
しかし、現物出資は現物なので評価が難しい。過大評価のおそれあり。
>資本の充実を害することになる
だから、168条1項5号や168条2項(発起人には重い責任があるので)が規定されたのである。
現物出資の厳格な規制を潜脱する手段としてつかわれるおそれあり
>変態設立事項 168条1項6号(検査役の検査)
会社が成立して二年以内に資本の1/20で取得する場合、株主総会のチェックを受ける
会社は登記をもって権利能力を得る(57条)
しかし、会社は設立前であっても、それ自体、会社として成立することを目的とした権利能力なき社団として実在している。これを設立中の会社という。
では、この設立中の会社の権利能力はどこまで及ぶか。
設立中の会社の機関たる発起人がなした行為の効果は、成立後の会社にすべて引き継がれる。
なぜなら、設立段階で選任された機関の行為は設立中の会社に帰属し、設立中の会社と成立後の会社は同一性があるからである。
(設立中の会社は登記という形式がないというだけのことで実質的な会社である。そして実質的な会社が登記を得ることによって形式的な障害が除かれ、権利能力のある会社となるのである。)
とするならば、設立中の会社の権利能力の範囲内でしか、発起人の行為は成立後の会社に帰属しない。開業準備行為としての財産引受は法律上許されている(168条)
では、財産引受以外の開業準備行為(例:従業員の雇い入れ、事務所の賃借)は、成立後の会社に承継されるであろうか。
それが、設立中の会社の権利能力の範囲内であるなら承継されることになる。
設立中の会社の実質的権利能力は設立の目的によって制限され開業準備行為には及ばず、設立中の会社の機関である発起人の権限も開業準備行為には及ばない、と解される。
なぜなら、設立段階では、監視・監督機能が不十分であり、発起人の権限を無制限に認めると、会社の財産的基礎が確保できなくなるからである。
また、条文上も(財産引受以外は)規定がない。にもかかわらず、発起人が定款にない開業準備行為を行ったとき、相手方の保護に欠けることになる。
そこで、民法117条(無権代理人の責任)の類推適用を考える。
>無過失責任なので、発起人に対して責任を追及しやすい
193条(発起人の損害賠償責任)は、発起人の悪意・重過失を要件としているので、民117の方がよい。
あれれ、権利能力制限説にたつのか。これだと追認は不可能ということになるな。書き直した方がいいかも(汗)
まず、総論として、資本充実の必要性を述べる。
各論として、財産引受、現物出資といった条文をひいてくればよい。
立法趣旨
無制限に財産引受行為をなしえるとすると、成立した会社に承継されてしまうため、成立した会社の財産的基礎を危うくしてしまう
よって、定款に記載されない財産引受は無効である
設立中の会社の権利能力
168条2項や財産引受は実務の必要から認められた例外規定である。
本文のような財産引受は権利能力の範囲外である。
よって、追認の余地はない
これは発起人の責任で図る
*反対説なら次のようにいう
会社設立の目的は、営業行為をなし得る会社の設立であるはずである。
開業準備行為は権利能力の範囲内
財産引受に関しては、濫用のおそれがあるから法は特に制限したのである。開業準備行為が権利能力の範囲内なら、定款に記載されていない財産引受は無権代理行為である。
よって、追認は可能である。ただ、これを安易に許すと法の潜脱手段となるおそれがあるので、事後設立に準じて特別決議を要すると解するべきである。
あ〜あ、ここは平成7年の本試験ででたんだよ〜。でもよく書けなかったんだ。悔しいな。
要件が厳格である
その趣旨>過大評価したとき、資本充実が害される
172条>払込期日までに給付しなければならない
*金銭なら179条で失権手続となる。しかし物には適用がない
現物出資は会社が特に必要とされるからわざわざ変態設立事項として給付するようにした。
だから、履行されないなら、強制執行か、定款を変更
192条(発起人の責任)・・ではない。これは株式の払込責任
ここは改正があったよ〜。192条ノ2で責任が明文化
発起人は設立中の会社の企画者である。
発起人が中心となって設立事務を行う
それが適正に行われないときは、会社ないし第三者の利益が損なわれる。
そこで商法は発起人に重大な責任を負わせた
>対会社(193条=取締役の場合の266条1項5号に相当)資本充実責任(192条)
>第第三者(193条2項=取締役の場合の266条ノ3に相当)
*当然、266条ノ3の論点がそのまま出てくる(例:「悪意・重過失の内容」等)
設立の手続は以下の通り
払い込みは銀行等にする(170条2項)
保管証明書をもらえる(189条)>払い込みが確実になる
ようやく登記をもらえる
ここまで手続がしっかりしていてなんで登記後引渡なしという事態が起こるか
それは、未成年が取り消した場合や「見せ金」の場合である
払込責任と引受責任(191条と192条)の違いは分かる?ここで論点。
引受は株主になれるが、払込は金を出すだけでは、新株発行時の取締役の責任は?
取締役の引受担保責任(280条ノ13)で、取締役の払込責任は・・・・・・ない!払込期日を過ぎると失権する
(払込がすんだものだけが新株発行の効力が生じる。設立では財産的基礎の確保という要請があるが、新株では迅速な資金調達に重点がある)
発起人は会社の企画者であり、設立における中心的人物である。<チェック機関としての役割あり
よって、設立の中心人物である発起人および検査を行う取締役に無過失であっても引受責任を認め、会社債権者の保護を図るため、192条の規定を置いた(法定責任)
よって無過失責任と言わざるを得ない。
資本充実責任を含めたすべての責任を総会決議で免責できるように読める。
しかし、会社に対する責任は総株主の同意で免責できるが、発起人の資本充実責任は免責できない
なぜなら、資本充実責任は会社債権者を保護する規定であり、債権者とは関係ない株主によって免責できるとするのは不合理だからである。
<どんな場合って?例えば払込がなされていないのに登記されてしまったとか
設立無効は二年間訴えをもってしなければならない(428条)。画一的処理の要請である。
また、無効となっても遡及しない(428条>138条3項>110条)
ちなみに、無効判決がなされる間、会社は有効な設立があったとして営業活動を行い、多くの会社債権者が発生する。
そこで、これらの債権者の保護のために、資本充実責任は履行されなければならない。
例えば、1億円引き受けしてもらったが、わずか500万円しか払い込みがないので、発起人が残りを引き受けた場合・・・・時間切れ