テレ朝系連夜のドラマスペシャル

ビートたけしの「張込み」 稲垣吾郎の「結婚の条件」
3月2〜3日(テレビ朝日系)
日頃ドラマを観ない私が二夜連続で単発のドラマを観てしまった。それほど積極的に観たかったわけでもないが、 「張込み」の方はその前から何度もCMが流れていて、原作といい、キャストといい、少し興味はひかれた。 稲垣吾郎の「結婚の条件」の方はたしか去年の秋の放映予定だったのがあんな事件を起こし、半年ぶりに日の目を見た物で、これもそういう 点では多少興味があった。
まず「張込み」の方である。松本清張原作のドラマといえば数あるが、なんといっても NHK制作のものに優れたものが多い。本人がヒチコックよろしくちょい役で出演などというのもあった。 そのずっと昔民放だったと思うが清張初期の短編をドラマ化したものを観た記憶があるが、いずれも原作が 良いせいもあり人間の心理の深いところを突いたようなものが多くて子供心に怖かったのを憶えている。 そんなこんなで清張ドラマにはつい期待してしまう。「張込み」も初期の有名な短編で映画化もされているという。 で、今回は出演者もビートたけし、緒方直人、鶴田真由と味のある演技派ぞろいで結構見ごたえがあるのでは という期待はあった。
結論から言って俳優はそれなりに良いんだけど、脚本に深みがないと思った。 第一、原作の主題である張込み刑事と犯人の元恋人(原作は妻では?読み返していないが)との間に恋愛心理が 芽生えるというそれこそが作者のねらいだったものが、そのかけらもないということ。私はもう少し緒方直人 扮する刑事と犯人の元恋人で今は家庭の主婦である鶴田真由の間に、何かそういった心理描写が入るのかと思っていたが、恋心というより同情 という形になっている。なぜそのテーマをずらしたのか、ビートたけし扮する熟年刑事の方に重点を置きたかった からなのかよくわからない。たけし扮する刑事の家庭での妻子との関わり、鶴田扮するの主婦の家庭の 夫や子供との描写、また緒方扮する若いエリート刑事の恋人とのデート場面なども挿入されるが、いずれも 画一的というか新鮮味がない。犯人と鶴田の過去の関係もしっかり描かれていないし。(前半はちゃんと 観てないけど)せっかく声に魅力があるのに鶴田のせりふが少ないのも残念だ。それからラストもドラマチック にするためか、たけし刑事が犯人に撃たれて死ぬのだがそれも余計なことではないかと思うんだけど。事件後に 緒方がたけし刑事の家を訪問するシーン、鶴田の近況を遠くから眺めるシーンもなんか陳腐。 というわけでこのドラマは期待外れに終わりました。
次ぎの「結婚の条件」だが、これは韓日ワールド カップ共同開催を記念してなのかどうかしらないが、韓国と日本の友好というのが大きなテーマであるのは 間違いない。それに国際結婚の難しさとか、嫁姑問題とかだろうか。それほど語り口は大仰ではなく、軽い タッチで進んでいくのだが、避けて通れない戦争をはさんだ韓国との歴史なども触れながら、国際結婚した 夫婦の危機と和解(家族との和解)をさわやかに描いていたと思う。稲垣吾郎もそんな優しい夫役がぴったりで 自然な感じでよかった。SMAPの”メンバー”ってみんな芸達者だと改めて思う。これは期待してない分 よく出来ていると思った。だからって別に感動!ってほどじゃないんだけど。

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