衆議院予算委員会「NGO参加拒否問題」参考人田中真紀子発言
2月20日(NHK テレビ朝日系)
まだ新聞で確認したわけではないが、この国会中継の視聴率はNHKで14%台だったと言う。それにテレビ朝日 の視聴率も加えれば人気ドラマくらいの視聴率を取ったわけである。私もワイドショーからの流れで、最初は テレ朝の方を見ていたのだが(NHKより始まりが早かった)途中CMが入るので(といってもスポーツ中継 程度)NHKに切り換えてしまった。画面構成とかは内容ごとにタイトルの文字が入っていて、テレ朝の方 が親切だったけど。NHKの方は全くそっけない中継で、質問が途切れているときに女性アナウンサーの 説明が入るが、後はただ質疑応答を流すだけという感じ。
その日の夕方のニュース、夜のニュースそして翌日の ワイドショーでもうさんざん、真紀子、宗男両方の証言を再度繰り返し聞いたので、ここで書くものいささか食傷気味 の感はある。読む方も同じかもしれない。しかしリアルタイムで見ていたとき、真紀子さんの発言はやはり 面白かったし、迫力あった。あるところでは強く同情し、共感もした。そのことは書いておいた方がいいと 思った。
とにかく一議員となった真紀子さんの外務大臣時代と比べての歯切れのよさ、それと更迭されて 以来引きこもって、更迭までの自分や外務官僚の発言、行動、一連の流れを整理した上での理路整然とした 証言は聞く耳に心地よく、また説得力があった。私なども真紀子さんのいいことばかりが耳に入っている わけではない。性格がキツイ、うそつき、というようなこと、新聞などでも結構今まで冷たく扱われていたのを 目にしている。そういうものを頭の隅に入れていても、20日の発言はなんら首を傾げたり、言いすぎと 思える個所は私には見当たらなかった。それこそ打てば響くように答えが返って来て、よどむところがない。 そして真紀子流の痛烈な発言、たとえば福田官房長官に対する例の招待状問題での「官邸は案内状を出した と言っているが」の問に対して「お得意の勘違いじゃないですか」とかつて自分がNGO参加拒否問題での 発言で言われた言葉をそっくり返すところとか、川口現外務大臣との引継ぎ問題で「今ごろになって引き継ぎ でもいいから会いましょうと言っているが、今私はご承知のように多忙でございます」と少し意地悪に 言ってみせるところは、彼女の面目躍如たるところだ。また小泉首相に対してどう思われるか、という問に 初めは躊躇気味だったが、最後には「彼自身が抵抗勢力になってしまった」といささか暴走ながら しゃべり出したら止まらなくなってしまった。
私が一番心を打たれたのは意に染まぬ政府統一 見解を承認せざるを得なかったその心の推移である。「NGO参加拒否で特定の議員の影響はなかった」という くだりを納得せぬままに認めたのは@経験の浅い自分を外務大臣に指名してくれた小泉首相への恩義、A 今の経済状態(失業者の数を挙げるところは数字に強かった父親譲りだなあと感じた)B国会空転への危惧 の三つを挙げ「棒を飲む思いで承認しました」というところ。涙を飲んでという例えはよくするが、それを ”棒を飲む思い”というのだから、そこに強い抵抗があったことをアピールし無念さを露わにした。 その気持ちが見ている方にも伝わって来る。
次ぎの鈴木宗男議員の発言はもう聞く前から逃げと弁明に終始するだろう ことは分かっていた。私が腹が立ったのは午後からの小泉首相の発言だ。その”棒を飲む思い”で承認せざるを 得なかった政府統一見解を真紀子さんが今は納得していないと言っていると迫ったのに対して、「本人が 承認している。それを尊重するということです」とかさらに詰め寄られると「大臣の時に承認しておいて いまさら納得できないと言うのはいかがなものか?」などと言い逃れていることだ。あんたたちが寄って たかって承認させたんでしょ?無論そんな脅しはなかったかもしれないけど、無言の圧力をかけたことは 間違いない。そんな真紀子さんの気持ちは重々知りながら「本人が承認したんだからそれを尊重する」などと しらを切り通す。そんな首相を私たちはとても信頼できない。ますますその感が強まる午後からの質疑応答 であった。


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