山田太一ドラマ「この冬の恋」2月1日放映 |
新聞のテレビ番組欄でこのドラマがあるのを
知ったのだが、テレビ欄の2時間枠のスペースいっぱいを使ってこのドラマを紹介(宣伝)していた。本当は山田太一
ドラマ「この冬の恋」だけでいいのに、それだけでは関心をを持てない人やピンと来ない人向けの、なんとか
1人でも多くの人に見てもらおうというあがきのような、あの長い宣伝文句が書いてある。山田太一ドラマのファン
であり彼の脚本なら見る価値は充分あると思っている私としては、こんな長々とした説明文をつけられて
気の毒なことだと思った。ドラマを見ていない人にはこの際分かりやすいかも知れないので、ここにその
説明文を写してみよう。 「山田太一ドラマスペシャル・この冬の恋・仕事一筋で恋を忘れた女が年下の 男と契約恋愛・・・本当の恋と生き方に戸惑う人間模様の行く先は」 どうです?もう中身すっかり分かって しまう。でもこの文とイメージ違うのはその女(田中美佐子)の仕事の種類。仕事一筋といってもキャリアだ なんだというようなデスクワークでも、華やかな職種でもない。食っていくための、自立するための仕事、外壁 の清掃業である。こういう設定が山田太一らしい。高校の先輩で夫に先立たれた子持ち(渡辺えり子)と 共同でやっている。後は説明文の通り、元ホストと金銭契約の付き合いをし、いざ別れるとなったら、お互い 本気で好きになっていた、という30代後半の独身女性にはけっこう、夢物語風の結末である。相手の男性も ホストをしていたというくらいで、しかも彫金のプロを目指しているというかっこいい(もちろん若い)男 だ。・・・なんだ、なんだ、田中美佐子クラスの女なら可能かもしれないが・・・そんなの夢だよな・・という 恋人のいない独身女性のため息が聞えてきそうなくらい、最終的にはハッピーエンドなのだが。 これに バイトの若い男女二人がからみ、また職を失い家を出て、ホームレスになった中年男性(小林稔侍)が からむ。 日常生活(職場も)の細やかな描写や会話に込める微妙な気持ちの表現など、いつもの山田ドラマの良さは このドラマでも変わらない。登場人物も人間的に許せる人ばかりだし。 それほど刺激的ではないし、 山田ドラマとしてはそれほどいい出来というわけではないにしろ、いつもの山田ドラマと同じように見終わって ほっとするような暖かさやしみじみ感、胸のざわめきなどが残るものになった。 |