何度も失敗し、何度もつまづき
たびたび見捨てられたような気になり
確かに間違っていたこともあった。
でも いいんだ。大丈夫。
ぼくは ただ 骨のずいまで 疲れているだけ。
明るくて BON VIVANT だと思ってはいけないよ。
もう、遠く家を離れているのだから、家を遠く・・・。
打ちのめされたことのない人を知らないし、
気楽な友達っていないよ。
途中で折られたり、打ち砕かれなかった夢も知らない。
でもいいんだ。大丈夫。
ぼくたちのたどっている道を考えると
間違っているのかなあと思うよ。
しかたないけどそう思うよ。
ぼくが死んでいく夢を見た。
ぼくの魂が思いがけないところに上って
ぼくを振り返って見下ろしている。
安心させるように微笑んで。
ぼくが飛んでる夢を見た。
はっきりと自由の女神が見えるように高く
上って
海を航海している。
ぼくが飛んでる夢を見た。
ぼくたちはメイフラワー号でやって来て
月に行く船も持つようになった。
そしてもっとも不確かな時代にいて、
「アメリカの歌」なんかを
歌っている。
でもそれでいいんだ。大丈夫、大丈夫。
永久に幸せではいられない。
明日は働くだけのつまらない日になるだろう。
そしてぼくは休みを手に入れようとしている。
休みを手に入れようと?
ポール・サイモンのギターのイントロに続き、重い調子で歌い始められるこの曲は、内容の
方もなんとなく、諦めムードのような醒めた感じの曲。しかし「アメリカの歌」らしく、「自由の女神」
「メイフラワー号」「月旅行船」といった言葉がいかにも象徴的に使われて、そこのところはストリングス
なども入ってきて、感動的です。(ポール・サイモン「ひとりごと」収録)
<"UP-BEAT"(1974.2.22発行)掲載>
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