ぼくの歌はきみの歌(Your Song)
曲 ・Elton-John,詩Bernie-Taupin


ちょっとおかしいんだけど こんな気持ちは
でもぼくは簡単に
 自分の気持ちを隠せるような人間じゃないんです。
お金はないけど もしあるなら
 いっしょに住めるような 大きな家を買いたいなあ。

もしもぼくが彫刻家だったら
 でもこれもちがうんだけどね。
それとも旅回りのショーで薬でも作れたら
ぼくには大したことはできないのは わかっているけど
 ぼくの一番得意なことは歌を作ること
これはきみのための歌なんです。
 だからみんなに言ってあげなさい、これはきみの歌だって。
単純なことかもしれないけど もうやってしまったんです。
気にしないで、気にしないでくださいね。
「きみのいる世界はなんてすばらしんだろう」と
ぼくが書いてしまったことを・・・
ぼくは屋根にすわって苔なんかをけっていた。
だって2、3の小節が気にいらなくて
腹が立っていたのです。
でも歌を書いている間、
太陽はとてもやさしく温かかった。
この歌は注意を向けてくれる 
きみのような人の ための歌なんです。
 だから忘れててごめんなさい。
ぼくはそれが緑だか青だか忘れてしまいました。
でもとにかくこれはほんとのことです。
きみの目がとてもすてきだということは。
みんなに言ってあげなさい。
これはきみの歌だって。
単純なことかもしれないけど
 もうやってしまったんです。
気にしないで、気にしないで くださいね。
「きみのいる世界はなんてすばらしんだろう」と
ぼくが書いてしまったことを・・・

この歌はエルトン・ジョンのあまりにも有名な曲。曲ももちろん良いけど、バーニー・トーピンの詩がすばらしい。 これはもはや言い古された誉め言葉になっているけど。バーニーがどの程度高級な詩人なのかは、それほど彼の 歌詞に注目していない私には、しかも語学力の乏しい私には判断できそうもないが、少なくともこの曲の 歌詞の良さは理解できる。・・・それが単純なラヴソングだからだろうが。
そのラヴソングのどこ が気に入ったかといえば、まず”ためらい”の気持ちがでていること。それは"It' little bit funny" という最初のフレーズに端的に示されている。愛の告白を紋切り型ではなく、ためらいながら、前置きを 並べながら語る、言葉の流れの自然さが私を引きつけるのだ。そしてエルトンの歌い方もこの内容にふさわしい やさしさで、言葉と言葉を巧みにつなげて情感を出している。きちんとメロディを決めて歌うのではなく、 フレーズによって自由に節回しを変えていく。だから1,2,3,4番とも出だしのところなど、とても 新鮮だ。とくに3番の"I sat on a roof"というところは内容通りの温かみを感じる。4番の「きみの目が とてもすてきだということは」をもってくるまでの"anyway, the thing is what I realy mean"というとこ などジーンときてしまうほどの良さだ。
(UP-BEAT 1974 6/ 3号 掲載)
現在のエルトン・ジョンといえば、その巨万の富と名声に恵まれたあまり、お腹も膨れ、買い物依存症などという ぜいたく病に陥っているといううわさを聞いた。またダイアナ王妃の葬儀の際に葬送の歌を捧げたことでも 有名になった。あの曲は「Good by, yellow brick road」という2枚組アルバムの中の、たしか "Candle in the wind"という曲をリメイクしたものだ。
"Your song"に話を戻せばたしかサッカーの中田英寿 選手が好きな曲ということも耳にしたことがある。この曲の入っているアルバム(ファーストだったかセカンド アルバムだったか?)の中には"Take me to the pilot"というソウルフルなかっこいい曲も入っているし "Border song"というこれまた初期の名作もある。サウンド的には地味だがその才能を世に知らしめるには 十分なアルバムと言える。(2001 7/ 1)

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