STRAY CAT BLUES
(Jagger-Richard)BY Rolling Stones


階段をガチャ、ガチャ音を立てて上ってくるおまえの足音がする
ハニー、怯えたような目はしていないだろうね
2階に上がってくれば ご馳走が待ってるぜ
 大したことじゃない 死罪なんかにゃ ならない

おまえは まだ15(*13)くらいじゃないかい?おまえのIDなんかはいらないよ。
とても落ち着かないように みえるけど 家を出てきたんだろ 
でも大したことじゃない 死罪にゃならないぜ

オーイェー、おまえは 迷い猫 
そんなふうに引っ掻いてみないかい?
おまえのおふくろはそんな風に 格闘(*噛み付く)するなんて知らないだろうぜ
 彼女はおまえのそんなカナキリ声を聞いたことはないだろう
とても寂しそうに見えるけど 家を出てきたんだろ
 そんなに怖がるなよ 俺はイカレタ熊じゃないんだ
大したことじゃない 死罪にゃならないぜ 
おまえの友達はおまえよりワイルドだって?
2階に 連れてこいよ そんなにワイルドなら 仲間に入れるぜ
 大したことじゃない 死罪にゃならないって

*オリジナルとライブ盤では歌詞が少し違う
*訳があまりに昔のロック口調で 恥ずかしいので少しだけ言いまわしを変えました。
今回は「涙なしには・・・」という雰囲気ではなく、 ロックの重要な要素の一つである卑猥さを持った”カッコイイ”ロックを取上げてみた。実際、夏の暑い 盛りにはこんな狂ったような歌が合う。
でも私がこの曲をよいと思ったのは、例によって歌詞からでは なく、いかにもストーンズらしい、乗り切れない節回しと、マディソンスクエアガーデンの実況録音盤での ミック・テイラーのギターにひかれてのことだった。"Oh,year,You are stray stray cat.."という さびの部分からジャガーの声をかき消すように、ビュンビュン入ってくるギターがこの曲を数倍盛り上げている。 ただしあくまでもライブ盤なので荒削りの面はある。
これのオリジナルは*69年に発売された「べガーズ バンケット」に収められているのだが、ここではもちろんテイラーのギターは聴かれず、キースがなにやら やってるが、あまり効果はないみたいーでも、もちろん、キースはストーンズのファッションだけでなく、 サウンドの面でも重要な役割を果たしているのは言うまでもないけど− しかし、こちらの方は途中から ラテンパーカッションが入り、リズムが変わって変化をつけているし、イントロの”アー”(高音)”イェー” (低音)という声も効果的でやはりスタジオ録音だけに遊んでいる。
また最近ではジョニー・ウインター がこの曲を取上げて、ストーンズの色っぽさに挑戦している。しかしこの三つの演奏の中では、わりとびしっと きまったロックに仕上げられ、テイラーのギターの味もあるライブ盤の曲が気に入っている。
歌詞の 内容はごらんのとおりで、別にどうということもないが、"Stray Cat Blues"というタイトルがすてきだと 思う。stray catと言えば、stray sheepを思い出すし、それがsheepとは似ても似つかないメス猫なのが おもしろい。
*68年か?(UP-BEAT 1974年7/25号掲載) 
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