古い机 (Good Old Desk) by Nilson


ウアウアアアアウ、ウアウアアー
ぼくの机は 唐草模様(アラベスク)なんかじゃない
朝、最初に机につくとき、ぼくの希望が消えないようにと
まちかまえているのをみるのは うれしいものさ
机はどこにも行かないことがわかっているから安心
いつも そこに いるんだ
ぼくの持っているもので とても 成功してるもの
それが この 机
ぼくの古い机には 休みは要らない
 それに泣くのを聞いたこともないし いじめるのをみたこともない
いつもそこにいて 9時から5時までぼくを気に入らせる
信頼できるっていう この安心感 いつもそこにいるんだ
ぼくの長年の友達 それがこの机
(以下 略)

うわさの 男(Everybody's talking) by フレッド・ニール


みんなが俺のうわさをしてる
  やつらがなんて言ってるのか聞えやしない
ただ 俺の心のエコーしか
 人々は止まってじっとみている
  俺はやつらの顔なんか見えやしない
ただ やつらの目の中の影しかね 

太陽が輝いているところへ行こう  土砂降りの雨を通りぬけてー 
天候が俺の服にぴったり合うところへ  北風はせき止めて
夏のそよ風に帆を上げて   嵐のように海を飛び越えながらー
  ウォーオーオー
みんなが 俺のうわさをしている
 やつらがなんて言ってるのか聞えやしない
 ただ  俺の心のエコーしか

ニルソンの名前を最初に耳にしたのは68年頃だったか、ビートルズのインタビューのテープの中で「お気に入りの シンガーは?」という問いに対してジョン・レノンが「ニルソン」と答えたのを聞いたときだった。そして69年に ニルソンの歌う「うわさの男」がアメリカでヒットして、それが最初に聞いたニルソンの歌だったと思う。 (この曲はニルソンの作曲ではないが)そのときはまだジョン・レノンの言った「ニルソン」とこの歌を 歌ってるニルソンが同一人物かどうかはっきりしていなかった。
映画「真夜中のカウボーイ」を観て以来 その挿入歌である「うわさの男」はますます私の好きな曲になって、リクエストカードを出し(絵まで描いて) それが採用されたのを今でも覚えている。ー中略
72年になってこの曲やスリードッグナイトで大ヒットした 「ワン」が収められている、二枚のアルバムを編集した『ニルソンの詩と青春』というアルバムを買った。 上の二曲はいずれもA面の曲。「古い机」は最初の「ウワウワ」を聞いただけで心が和んでくる。 続いての曲が「うわさの男」でイントロを聞いただけで胸がキューンとなる感じ。あの「真夜中のカウボーイ」の 雰囲気が強いからだろう。サビの部分になるとキューンからジーンとなってしまうのである。それに この曲での歌いぶりはカントリーっぽいというか、南部の男っぽいというか・・・。
ところでニルソンはその後、ジョン・レノンやリンゴ・スターと”お友達”になり、ポップスターになってしまった。 ポップスターになった後のレコードはほとんど聴いていない。いい曲もあろうし駄作もあるかも・・・。 でも厚ぼったいサウンドはあまり好きではないし、スターのニルソンもあまり・・・。やっぱり「うわさの 男」でのニルソンの若々しさ、「古い机」でのあのニルソンの小心さが好きだなあ。
でも今のニルソンも なるべくしてなったという感じで、それはニルソンにとってはスゴイ体験だっただろう・・・。ニルソンの 今後はいかに?("UP-BEAT"1975年2月24日発行に掲載)


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