Imagine(John Lenon) Stand By Me |
ビートルズが解散した前後からずっと私はジョン・レノン嫌いを通してきた。皮肉屋のジョンは好きだったけど
ヨーコさんと一緒になってからの彼には、甘っちょろさがつきまとい、段々に生身の人間のもろさというような
ものが出てきてしまった。私たちの前に”もろさ”を見せつけるのは嫌らしいと感じ、そのような”もろさ”
を胸に秘めてがなりたてている方がロックン・ローラーには似合うと思った。4,5年前、ヨーコさんと華々しい
ハプニングを続けていた頃、またインタビューでポールを批判し、「RAM」のアルバムのお返しにヒドイ
仕打ちをしたジョンには腹がたった。私はあの対立では完全にポールの見方だった。でもそれももう昔の
こと。今ではそんなに仲が悪いということもないのだろう。だから私もすべてを水に流し、素直な気持ちで
ジョン・レノンの歌を聞いてみた。 するとあの「イマジン」からは穏やかな悟りの境地やその裏にある 諦めとか淋しさとかが伝わってくる。・・・・・「天国も地獄も国も財産もない、理想郷を想像してごらん」 と子供にでも語り掛けているようなやさいい言葉で歌ったあとで、ふともらす、 ”You may say I'm a dreamer," という言葉にはなんとも言えぬ淋しさが漂っているように私には思われる。その辺のメロディとか歌い方から 受ける感じだけど。しかしそのすぐ後で"but I'm not the only one"と言ってみたりするけど本当に ”someday You'll join us" と思っているわけではあるまい。 そして「スタンド バイ ミー」これはもう最初に 聞いたときからいい曲だと思っていた。誰の歌っていた曲かも知らないし、もちろん、ジョンが歌って 初めて聞いた曲であるが、それは私にとっても懐かしい曲のような気がする。なぜならそこにビートルズや ストーンズの原型を見るからである。 "darling,darling stand by me...." といっしょに歌えば、ジョンやミックの”青春”に自分の”青春”(彼らに比べれば貧しい青春であるが) が重なってくるような気がする。 ジョン・レノンってみんなが言ってるように本当に純粋で傷つき やすいいい人ではないだろうか、それでみんながあの当時「ジョンの魂」や「イマジン」を評価していたのか なあ、などと今ごろになって思うのだが、私の頭の中にはいつもビートルズ時代のすごい曲があるので 、どうしても高い水準のものを要求してしまっていたのだ。そして解散後のジョン・レノンに対する評価も 定まらないでいる。 ("UP-BEAT"1975 6/9発行 掲載) **思えばこれを書いて5年後にジョンはピストルで撃たれたわけである。** さて今回の米テロ事件後、ラジオなどで流す曲を規制しようという中に、「イマジン」も入っていて なぜこの曲が、と思った人もいるだろう。今こそ流さなければならない曲のような気もするけど。 一方で即座に浮かんでくるのは"Imagine there's no heaven...." というくだりだ。その後に"no hell below us, above us only sky"と続くのだが・・・。ここの無宗教 性がひっかかるのか。それと"Imagine there's no country"のところも 国策には合ってないのだろう。* その後この規制曲のリストは廃棄されたと聞く。しかし一度そういう網に 引っ掛かったものって敬遠されがちだ。ところが全米テレビで流されたという、ビッグスターたちのチャリティ コンサートで、あのニールヤングが「イマジン」を歌ったという。さすがに生前のジョン・レノンから気に入られた ミュージシャンだけのことはある、と私は思った。 * もちろん、"all the people living ....in peace"とか "nothing to kill or die for"などの歌詞にみられる「反戦歌」というのが、大前提ではある。 |
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