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ナンシー関の「小耳にはさもう」'02


その文面からしてナンシー姐さんとでも呼びたくなるような恐さ(意地悪さ)がある。 おかしなマネでもしようものなら(決して正義感に基づくものではなく彼女の尺度で見て) このナンシー姐さんがみのがさないよ、みたいな。 ここで俎上にのせられた著名人(主にタレント)の方々はどんな気持ちかと人事ながら同情を禁じえない。 「どんな顔してそんなことがこの私に言えるのよ。」と怒鳴り込んで来る人はいないのだろうか。それとも 消しゴム版画の似顔絵がよく出来てるし宣伝にもなるので大目に見ているのだろうか。 なんにしてもこの人は消しゴム版画という特技があったからここまでの地位を確保したのであって合わせ技一本だ。

ナンシー関(本名関直美)さんは6月11日夜、知人と食事した後「仕事が残っている」と言ってタクシーに 乗りそこで倒れ病院に運ばれ、12日午前0時過ぎ永眠したとのことです。39歳でした。突然の訃報に驚くばかりです。 やはり仕事のし過ぎ、過労死といってもいいかもしれません。(直接的にはそれに伴う運動不足、及び過食?)
本当に残念です。   2002.6.12

2002年「小耳にはさもう」番外編(8/19)


2002年「小耳にはさもう」一言メモ
6/28 号 追悼{本誌(週刊朝日)が触れた}ナンシー関(享年39)の「天才」
今週号からナンシーさんのコラムは読めなくなってしまったわけだが、 こういうタイトルの追悼文が載っていた。長い後ろ髪から少しだけ横顔がのぞいて「けっ」と せりふの入った自画像(自彫り像?)が写真とともに載っている。よく特徴つかんでいる顔にその人を表す 決めぜりふが入って完成するナンシーさんの消しゴム版画、これは本当によく出来ているといつも感心していた。 それもこれも皆が絶賛するように観察力、洞察力の鋭さからくるものだろう。それに根っからその仕事が 好きだったのではないだろうか。担当の人の話では今まで原稿を「落としたことは1度もなかったし質も 全く落ちなかった」そうだ。(「今週はお休みです」という断りを見たことないもんな。)「プロ中のプロ」と 絶賛する。あと同じ「週朝」に連載している山藤章二氏、漫画家のしりあがり寿氏、民俗学者の大月隆寛氏 などが最大級の賛辞を寄せている。もちろん死者を悪く言う人は少ないにしろ、若死にだったということがあるにしろ、 追悼文のタイトルからして「天才」とうたれているように、ありきたりの賛辞ではない。山藤氏などは 自分の「ブラックアングル」のコーナーを「追悼模索版」としてナンシーさんがもし生きていたら誰を取上げただろう と予想しながら「小耳にはさもう」スタイルで彼女に捧げている。あの山藤氏を自分のコーナーをつぶして まで、追悼させたナンシーってやはり「天才」だ。
もうあの名物コラムが読めないと思うと本当に寂しい が、来週から追悼企画としてベスト10を掲載すると言う。これも異例のことでしょう。そうそう、 この「小耳にはさもう」は93年1月からの連載で10年目を迎えていたのだそう。来週からしばらくは 「小耳にはさもう」復刻版が読めるわけだ。
6/21 号「世田谷北沢区役所において婚姻届が受理された」
(辻仁成発言 6月 7日オフィシャルホームページにて)

これがナンシー関最後の「小耳にはさもう」となった。信じられないけど。本人が一番そうだろう。
このコラムの最初の発言者(犠牲者?)は貴乃花関だったと言う。最後が辻仁成、バランスはいいと思う。 ときどき取上げられるような小物とか旬を過ぎた人でなくてよかった。以前にもこの芥川賞作家を取上げた ことがある。そのときは「笑っていいとも!」(ナンシーさんお昼の定番番組)出演で自分の豪華本を タモリに渡す際の「家宝にしてください」という発言を取上げている。これは冗談っぽく言ったのだとしても、 この人のこういう自信過剰ぶり(ナルシストぶり)は今に至っている。そして今回W杯で盛り上がる中、 ひっそりとかどうかそこら辺の事情もわからないが、「正統派美人女優」中山美穂との電撃入籍があったわけだ。 ナンシーは辻の初対面の言葉「やっと会えたね」は美穂にとって”デッドボールか危険球か”と見る。あるいは もっと外れた奇襲作戦にも見える。30過ぎた中山美穂もいろんな恋愛経験があり、直球、変化球に対応出来た のだが、今度の危険球、あるいは奇襲作戦にはまんまと倒されたというわけだ。中山美穂を「正統派」と 認めるのにも、この二人の結婚が「ありだな」と認めるのにも、いくつもの屈折した問をした後に一応の結論を 出す。ナンシーらしい論の組みたて方だ。結論を言い放っておいて「しらないけど」とか「どう思っているのだろうか」 と言っておいて「どうとも思っていないだろうけど」とすぐ問を打ち消すような書き方も特徴のひとつ。 自分の見方はこうなんだけど、本人じゃないから「知らないけど」を入れてちょっと語尾を弱めるといった テクニックとか、いったん突っ込んでその突っ込みに自分でフェイントをかける、といったやり方。
「小耳にはさもう」最終章は、この辻のホームページ上の書き方を取上げて、こう言う風に書くと物語風になるもんだ、ただ「婚姻届を出した」 ってことなんだけど、と突っ込む。なかなか読み応えのある絶筆となった。
それこそサッカーの日本チームに 対してではないけど、心から「楽しませてもらってありがとう」と言いたい。
6/14 号「あれは、僕は『ドーハの喜劇』だと思うの」
(石原慎太郎発言 5月 30日「日刊スポーツ」紙上)

W杯に関係した発言にアンテナを張っていたナンシーさんの目に飛び込んできたのがこの記事である。 そもそもなぜ石原都知事か、というと大学時代はサッカーをやっていたと言う。記憶のかなたにあるのだが 慎太郎の短編小説に出てくるスポーツってボクシングとかラグビーじゃなかったかなあ。もしかしたら サッカーも出てきたのかもしれないが、その時分サッカーなんて全然興味ないし、かっこいいものでも なかったような・・・。
このスポーツ紙のインタビューのねらいは「多少暴論めいたワールドカップと ナショナリズムというお題の石原節」を期待してのことだろうがその図式に乗ってこなかった、とナンシーは 読む。
ところが日本対ベルギー戦が終わった直後のインタビューではこの図式ぴったりの発言をしている。 「これでロシアに勝てば北方領土問題も話しやすくなる」
これぞ石原節炸裂といったところだろう。 多分ベルギー戦での日本の健闘に気をよくしてのジョークとも本音ともつかぬ言葉だ。
あとW杯がらみの タレントとしては今のところ意外だったのはNHKがキムタクを使ったことが挙げられるが、あとはナイナイの 矢部(っち)が目だったところ。他には清水圭くらいしか見ていない。
*TBS系ではTOKIOの国分と 極楽とんぼの加藤が使われていた。お笑いとW杯はあまりしっくりこないような気がする。
4/26 号「沈黙は金と思っているかもしれないけど、”ギン”になってもいいから 言ってほしいですね」(4月12日前田吟発言「スーパーモーニング」 にて)
私も前田吟がまさかワイドショーの司会をするとは思わなかった。 もちろん、彼は”寅さんシリーズ”のさくらのダンナ役を挙げるまでもなく、橋田寿賀子 ドラマその他で活躍の芸達者な役者だ。「徹子の部屋」などで聞くところによると大変な苦労人でもあり、 まっとうな人生を送ってきた人だろう。でもなんでワイドショーの司会に?とナンシーさんも不思議がる。
それで思いつくのが同じテレビ朝日のお昼の情報番組の司会者が大和田獏ということ。役者としての共通点の 他、二人とも、人気橋田ドラマ、「渡る世間は鬼ばかり」にも出演しているという。(私はこのシリーズ、初期の ものしか見ていない)それに付け加えて、私が感じるのは、大和田獏の司会が予想以上に出来がいいということ。 視聴率は「笑っていいとも!」と「思いっきりテレビ」とに挟まれているので、それほどには上がらないだろうが、 テレビ局の感触としては、成功なのではないのだろうか。大和田獏の司会者起用成功ということで、それに近い 存在で、なおかつ大和田獏より大物で苦労人の(政治のことでもきっと庶民の見方であろう、というような思惑 ありの)前田に白羽の矢が立ったのでは、と思ったりする。
ナンシーさんも書いてるように「当たり前の ことしか言わない」「”当たり前”イコール”つまらない”」。そして「少々愚鈍なくらいの正義感でいいと いうことなのかも」と納得する。大和田獏には前田より若い世代ゆえの勘のよさ、スピーディさ があって、司会者として適応しているのだが、平凡な正義感だけでは番組はひっぱっていけないだろう。 役者としての前田吟がいいだけに、司会役はやっぱりミスキャストなのでは、と思うけど。
4/19 号「吸い込まれそう」
(叶美香発言 4月4日「クイズ$ミリオネア SP」にて)

叶美香が番組後半最後の方で早押しクイズに勝って挑戦権を得た。 どういう問題だったかは忘れたが、これってやらせありなのか?とも思うけど、推測でものを言っちゃあいけないので 誰にも文句は言われない。そしてけっこう物知りの美香嬢は500万くらいまでいったのかな。結局100万円 獲得。そんなことよりこの叶美香にめろめろ状態を演技するみのもんた、「油っこさとアクの強さで妙にリアルで あったが、予定調和な風景だった」とナンシーは書く。そんなみのとのからみよりも、叶姉妹がこれほどテレビに 定着するとは思わなかった、と言い、彼女たちのメディアでの存在は”キワモノ”として突っ込めない不自由さ、違和感の共有から出発したが 次第に”王道の「眼福」みたいな役割を獲得していく”とナンシーは分析する。そして”「日本のセックスシンボル」 と言い切りたい”と断言する。これは主に叶美香にあてはまることであって、姉の方は”さらにわからないので 記号にならない”と書く。美香はその定義不能な恭子の通訳としての立場でもある。消しゴム版画のせりふも 「姉が申しております」でまさに美香を模写するには絶好の言葉。一般視聴者から見ると美香さんって姉の( 本当の姉かどうかも確認できないが)恭子さんに利用されてるんじゃないの、とか思うけど・・。
この叶姉妹(美香)論はとても含蓄が深いように思う。ただナンシーは文学少女じゃなかったと思うけど、 その分、文の構成とか文章力がいまひとつなんで、読者にすーっと論点が伝わってこないのが難点。 もう少し文を練ればけっこうな評論というか、優れた人間観察文になるんだけどなあ、と思う。 私などナンシーほどの叶姉妹論は書けないと正直思うもの。
4/12 号「えーと、えーと・・・。あ、私!?山田邦子!」「ブー(不正解音)」
(3月25日 テレビ朝日系「タイムショック21スペシャル」にて)

この状況を説明すると番組は上記の通りで、山田邦子チームと石田純一チームに分かれて、2000万円を 目指してつないでいくというもの。レギュラー問題と12アンサーというのがあって、 山田チームは12アンサーで2度失敗したものの1700万まで積み上げて、時間も押し迫まり、またしても 12アンサーの問題でキャプテン山田登場。その問題がなんという運命のイタズラか意地悪なと、私も思った、 「好感度女性タレントを上から12人答えよ」というもの。というのもかつて山田邦子は好感度ナンバー1に輝いた 絶頂期があったのだ。この文によればその好感度調査で山田は'89から'96年まで8連覇を達成したというのだ。 そんなに長く?と今となっては信じられないのだが・・・。さて現在では彼女が一体何位に入っているのかも 定かでないのだが、この問題を山田が答えるはめになってしまった。ナンシーさんに言わせると「背筋も 凍る底意地の悪さ」。
私はCM中ちょっと用をしていて、テレビに戻るともう「ブー」がなっていて 椅子が廻った。「あらあら・・」と思って見ていると、山田チームの他の出演者たちもマジで落胆の色と山田に 対しての同情の入り混じった顔をしていた。この文によると5人の名前は出たと言う。今をときめく久本雅美や 松島菜々子、常連の和田アキ子(山田の二の舞にならないよう注意)などだ。6問正解ならセーフで椅子も 廻らず次ぎにつなげるというのに5問だと失格で1700万もパー。それだけでも後味悪いのに最後に 山田が挙げた名前が「私?山田邦子!」だったと言うから笑うに笑えない。(本人はもちろん違うとわかってて 名前が出てこないから苦し紛れか冗談かのどっちかだったのだろう。そのときの表情を見てないのでなんとも 言えない)ただ椅子が廻った後言った言葉が「優香が千人?くらい出てきた」だった。「優香・・ゆうか・・ 」って叫んでたんだろう。(「タイムショック」は1分間で答えなくてはならない)
以前から山田邦子の 人気の衰えをネタにしていたナンシーさんにはことのほか印象深いシーンだったと見えて「こんな意地悪 見たことないな。(中略)ちょっと泣いた」と結んでいる。
4/ 5 号「(今後のタレント活動は)ありません」
(野村沙知代発言 3月 19日初公判にて)

この言葉は裁判官の心証をよくするものとして 、”「改心・懺悔」の一方法として”お茶断ちとかと同じ意味で発せられたとナンシーは解釈する。 ということはある種の人にとってタレント活動とは、「労働」ではなくて大きな儲けが付随した道楽だ 、というのがナンシーの見解だ。そして「いいとも!」のレギュラー出演が決まったサッチーと同じ ポジションの和泉節子にも言及し「必要なのか?」と疑問を投げかける。
3/29 号「西田ひかるのスレスレクイズに彼氏ヒヤヒヤ!」
(TBS系「関口宏の 東京フレンドパークU」サブタイトルから)

西田ひかるの誕生パーティーネタは以前にもあった。今回はこの番組で、結婚が決まったと報道されているその彼氏に ちなんだ問題が出されたことでのひかる観再考。
西田ひかるという人は外国で教育を受けた(いわゆる 帰国子女)特有のしっかりした感じ、日本人のような機微を読むとかいうあいまいな文化?とは一線を画した 育ち方からくる違和感、優等生的なところやずっとアイドルとしてのポジションを保っているということに対する 反感とで、特に同性からはあまり共感を得られていないのではないだろうか。
ちょっと前、日本テレビ系 「踊るさんま御殿」に出演していて、横にすわっていた藤谷美和子がひかるが発言するたびにげらげら笑い出しす ということがあった。失礼な話ではあるが(藤谷美和子ならではの)藤谷のどこかをくすぐるものがあったのだろう。 またひかるもそのことに気づいている。もちろん、賢いしきちんとしてはいるのだが、ある部分ではナンシーさんの 言うように「地に足がついているのだろうか」という心配な部分もわからなくはない。どこがと言われると 困るが・・・。
3/22 号「私はそういう女ですから」(和泉元彌の母ー節子ー発言
TBS系「ウラ まるカフェ」にて 巷間伝えられる鬼姑像を一蹴)

この人の登場の仕方が野村沙知代のときと似ているという。登場のときは絶対「不快」だったはずが、けっこう多くの 人が「快」と思うようになってきたのだと。まあ平たく言えば怖いもの見たさ?それに周囲の目をものとも せずに我が道を押しとおすところに自分にはない強さを見出し、それが「快」へとなっていくのかも。 あんな風にものが言えれば気持ちいいだろうという羨望。でも元彌ママには全盛時のサッチーのような 面白さはいまのところ見られず、自画自賛的な嫌味な感じの方が大きいように思うけど。
3/15 号「(ワールドカップには)行きまくりますね。もうほとんど休みにしてください って言ってある」
(石田純一発言 2月28日「笑っていいとも」にて)

”サッカー芸能人”については関心高いナンシーさん、ワールドカップに向けてどんな意外な新参者が 登場するかと期待していたら、第一号に石田純一がきた。今まで石田がサッカー好きだと聞いた事はなかった ナンシーさん(私も初耳)、最近のワールドカップには全部現地に行ったという彼の話に「嘘は言わないだろうけど」「やはり 言わずにはいられない『ホントかよ』」である。それくらい彼のサッカー話に説得力がなかったと。まあ、でも 見たいチケットが手に入るという特権待遇がまだ石田純一にあるということにも、釈然としないようである。
3/ 8 号「祐也は胸も触っていないしキスもしてない(と言っていた)」
(三田佳子発言 2月17日)

「それにしても、三田佳子は『間抜けの穴』にはまり放題である」
かつてCMの女王、高額納税者でもあった三田佳子についてナンシーさんは以前からシビアな見方をしている・・・。
3/ 1 号「鈴木のスの字も宗男という字もないですよ」
(鈴木宗男発言 2月14日 「ムネオハウス」についての弁明)

”時の人”鈴木宗男登場。 ナンシーさんは普通あまり”時の人”は扱わない。よほどの事件(主に芸能界)のとき以外は。「ムネオハウス」 というネーミングがナンシーの触覚を大いに振るわせたらしい。ムネオとファーストネームで呼ぶことに”他意の 存在を読みとっている”と書いている。本心はわからないにしても”影でばかにしている”というのがナンシーの 言う”他意”らしい。私はこれには異論がある。というのも外国では親しさを込めればファーストネームで 呼ぶのが普通ではないだろうか。(ロシアであっても)それにカタカナというのも向こうで呼ばれているから カタカナにしたのであって、本来はロシア文字の”ムネオ”だろう。それをなんかバカにしたような呼び名 に取るのは日本人だけが感じる受け取り方だと思う。またナンシーはそれに関連して選挙での立候補者の名前を カタカナ、ひらがなにする傾向を”親しみを増す”ための要素の方が誤読を防ぐ(本来は書き間違いを防ぐ ためでしょう)要素よりも大きいのではと書いている。それも全くないとは言えないでしょうが、やはり 1票差に泣くのが選挙というやむ終えない事情の方が先にあると思う。でも言いたいこと、感じていることはよく わかる。とにかく日本人の男のファーストネーム、それもカタカナとかひらがなを見せられるとなんとも 間抜けな感じがしてしょうがないということが。
今回の鈴木宗男の似顔絵版画、とてもいい。上目遣いの 抜け目のなさとか今にもべらべらしゃべりそうに口を半開きにしているとこなど雰囲気が出ている。


2月の「小耳にはさもう」
松岡修造発言、三宅久之発言、
セルジオ越後発言、稲垣吾郎発言

過去の「小耳にはさもう」
2000年〜2001年