カルテット(TBS系火曜22時)脚本 坂元裕二 出演 松たか子 松田龍平 満嶋ひかり 高橋
一生 とくれば見ないわけにはいかない。それぞれに秘密の過去を持つ、プロになり切れなかった弦楽器(バイオリン2、チェロ、ビオラ)の演奏者4人(松 松田 満嶋 高橋)が偶然を装いつつ出会い、当然カルテットを組むことになり、軽井沢の別荘で
合宿するところから始まる。物語の進行とともにそれぞれの抱える秘密が明らかにされていく。一人一人の物語を追うと同時に、というかそれ以上に食事中であったり日常生活の中の
2人なり4人なりでの会話の面白さがもう一つの趣向となる。「会話劇」とも評される。もちろん一人一人の物語は一緒に暮らす他のメンバーにも大なり小なりに関わってきて、そのために恋愛感情も起きれば摩擦も
起きる。あと最初のほうはサスペンス風にもなる。ことに初回は登場人物の性格も過去も分からないのでミステリアスで誰が一番悪者だろうかとか、殺人事件が本当にあったのだろうかとか、そのわりにみんなの会話は
平和だなとか、緊張感となごみが混ざっていて引き込まれる。
しかし3回目にすずめちゃん(満嶋)の過去、4回で家森(高橋)の過去が語られるのだが、なんか唐突すぎて
急速に緊張感がなくなったと感じた。ところが5回目はまた第1章の最終回ということで、緊張感ある会話で盛り上がり終盤には今までの大きな謎だった巻(松)の夫の所在が明かされ視聴者を唖然とさせるのだった。
その盛り上がる会話とは巻(松)とすずめちゃん(満嶋)と演奏場所を提供しているレストランの従業員アリス(吉岡里帆)との間でやり取りされるもので、すずめも知りたがっていた巻の秘密をアリスが探ろうと鋭い質問を飛ばす。
それを阻止しようとして盛んにお茶にしようと勧めるすずめ。結果的に1回目からすずめが巻に対して行っていた卑劣な行為をアリスが暴露するはめになり、アリス自身の保身もあって卑劣の上塗りをするような言い訳までする。
その3人の会話劇は殺気だつような鋭さのアリス(性格が極端に悪い)にそれぞれが違う立場で動揺しつつ対応する、すずめ、巻との三者三様の心理状態による会話劇でぞくぞくするものだった。そして思わぬところで登場する巻の夫!その意外なキャスティング!
で前半は期待に応えて終わった。これからの展開はもうサスペンス調はないかもしれないが、楽しみ。それともう一つ付け加えなければならないことがある。最後に挿入される椎名林檎書下ろしの主題歌(「大人の掟」)だ。
これを4人の主演者たちが歌い演じる。元々椎名林檎ファンとしては曲はもちろんのこと、4人のパフォーマンスが素晴らしすぎてぞくぞく(すずめちゃん流にいうと”めぞめぞ”か?)する。ちなみに、以前同じ坂元裕二の脚本で
「最高の離婚」のときも同じようなエンディングがあったのだがその時のメンバーは瑛太 尾野真千子 真木よう子 綾野剛というこちらも豪華キャスト。ドラマを盛り上げる要素としても最高のパフォーマンスだ。
もう一つは海外ドラマ
ダウントン・アビー5(NHK 2月19日終了))もうシーズン5になる。シーズン6で終了ということで実際イギリスでは終了しているし、CS放送でも
もう放映終了だろう。残念だ。20世紀初頭のイギリス貴族の館で繰り広げられる家族、使用人たち(執事、従者、下僕、侍女、料理人、運転手など)の大河ドラマ。お屋敷の豪華な調度品やディナーの衣装やテーブルを
見ているだけでも豊かな気持ちになってくる。登場人物たち(貴族側)の織りなす会話や物腰は優雅で、使用人たちの態度は階級制度がいかに厳格な社会だったかを正確に表現する。その中で愛も信頼も策略も哀しみも思わぬ悲劇もあるのだが、、、。
観る楽しみを存分に味わえるドラマだ。